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令和 4年 2月定例会本会議-02月28日-05号

  • "次期森林づくり指針"(/)
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    令和 4年 2月定例会本会議-02月28日-05号


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    令和 4年 2月定例会本会議-02月28日-05号令和 4年 2月定例会本会議 令和4年2月28日(月曜日)  出席議員(56名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    47 番 高村京子   21 番 丸山大輔    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志    50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人    51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫    52 番 向山公人   26 番 中川博司    53 番 平野成基   54 番 本郷一彦    56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内  出席議員(1名)   46 番 鈴木 清         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     産業労働部営業   副知事       関昇一郎     局長        金井伸樹   危機管理部長    中村宏平     観光部長      渡辺高秀   企画振興部長    伊藤一紀     農政部長      小林安男   総務部長      玉井 直     林務部長      井出英治   県民文化部長    中坪成海     建設部長      田下昌志   県民文化部こど            公営企業管理者   も若者局長     野中祥子     企業局長事務取扱  小林 透   健康福祉部長    福田雄一     財政課長      矢後雅司   環境部長      猿田吉秀     教育長       原山隆一   産業政策監兼産            警察本部長     小山 巌   業労働部長     林 宏行     監査委員      田口敏子         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡     議事課主事     松橋高志   議事課長      百瀬秀樹     総務課課長補佐   川村亜由美   議事課企画幹兼   丸山俊樹     兼庶務係長   課長補佐               総務課担当係長   青木武文   議事課担当係長   矢島修治     総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和4年2月28日(月曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、鈴木清議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、共田武史議員。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)おはようございます。自民党県議団、共田武史です。今回は、山と湖、森林と諏訪湖をテーマに質問させていただきます。  森林の歴史をひもときますと、戦中、戦後、乱伐してしまいました。それにより、山や川は荒れました。山は木を切ってしまったことにより土砂災害が起き、そして、山の保水力がなくなってしまったがために川の水は枯れ、そして、雨が降ると茶色い大水が川を下るようになりました。  戦後の木材需要を見込み、国は拡大造林政策に取り組みました。天然林を針葉樹林、人工林に替え、需要に応える予定でした。多くの山林所有者が、将来お金になる、財産になる、そんな期待を込めながら拡大造林政策に協力したようです。その後、外国材の輸入を自由化したことにより木材価格は下落、そして、国内の林業は衰退し、中山間地から若者が都心部へ移るという現象が起きました。  また、財産的な価値が減ったがために、管理が行われず、間伐が行われず、そして、災害が起きるような山も増えました。最近、CO2の削減が環境面から見直され、国においては森林環境税、長野県においても長野県森林づくり県民税が導入されています。また、最近のウッドショックにより価格が上昇したことにより、林業の転換点が今来ていると感じます。  私自身も、小学校の頃、近くの川を見ると、夏枯れしている現象がありました。中学校になると、その枯れている川が水を取り戻したことを覚えています。昭和20年代から30年代にかけて拡大造林政策が行われたことを考えると、20年から30年かけて山は保水力を保ち、そして、水が流れる、川が豊かな水を取り戻すようになったと思われます。  森林の大切さを改めて感じるわけですが、まず、井出林務部長に、以下10点質問させていただきたいと思います。  言うまでもなく、森林は資源であります。残念ながら、日本の、そして長野県の森林が十分に活用されているとは言い難い状況です。改めて、長野県の持つ広大な森林を資源としてどのように評価しているのか。また、産業への可能性をどのように考えているでしょうか。  海外に目を向けて、スウェーデンやフィンランドなどの林業先進国を見ると、しっかりとした産業として成り立っています。国土の80%近くの森林を有する日本にとって、海外に学び、海外と比較する必要があるかと思います。そんな意味で、北米や欧州の林業は産業として成り立っていますが、日本の林業は補助金や様々な支援を行っても産業として遅れています。その原因を林業県としてどのように比較しているでしょうか。  歴史を見ますと、木材価格が下落したことにより、山林所有者が山林への関心がなくなり、そして間伐が行われず、林業が衰退していった、そんな経緯があります。そういった意味では、今回の木材価格の上昇、ウッドショックは、ある意味チャンスだと思います。  しかし、現在この林産業が順調に循環しているようにもまだ思えません。何が課題、ボトルネックとなっているのか、気になるところです。そこで、原木価格が安いことにより林業が潤わないと言われていましたが、価格が高騰した現在、木材流通の川上から川下のボトルネックについて、以下3点、伺います。  川上の問題です。林内路網の整備や機械化の状況をどう評価しているでしょうか。  川中です。ウッドショック下、製材工場や合板工場の状況をどう評価しているでしょうか。  川下です。県民がエシカル消費として県産材を活用するために木材利用推進策は十分と考えているでしょうか。  ウッドショックの影響で木材製品が高騰しております。建設現場では大きな課題となっておりますが、この木材製品の上昇率よりも原木価格の上昇率はかなり低いようです。このウッドショックの状況は、林業従事者、川上の方々に恩恵が少ないように感じます。そんな意味で、原木価格の変動以上に木材製品が高騰している状況をどう分析しているでしょうか。また、製品価格の高騰による林業従事者への恩恵は少ないようですが、どのように分析し、恩恵を受け取れるようどのように取り組むのでしょうか。  続いて、価格の変動について考えてみたいと思います。  世界の状況は刻一刻と変化し、世界的には人口が増加しております。また、環境意識の高まりや経済の成長により今後も木材の需要は拡大するように思います。そんな意味で、現在の価格の上昇はこれからどのように推移していくのか。また、国内材を国外材からシフトするチャンスだと思われます。そこで、今後輸入材の状況をどう予測し、原木価格の推移をどう想定し、対応していくのでしょうか。また、輸入材のシェアを国内に切り替える取組は行っているでしょうか。  続いて、林業を産業として自立させるためには、数値の目標を定める必要があると思っております。例えば、木材単価を決め、その単価を達成するために様々な需要策を喚起する。また、今現在、長野県は素材生産目標を掲げておりますが、この素材生産目標は価格とするべきであり、木材価格の総売上高があって、その中から林業従事者の給料、そして山林所有者の利益、また、今進められているスマート林業や林業の効率化の設備投資、そういったものが初めて計算できると思います。そこで、県の原木供給量の目標は、林業業者の発展を考えると原木の販売額にするべきと考えますが、いかがでしょうか。  環境面での質問です。  長野県のゼロカーボンの達成に森林の役割は非常に大きいと思います。森林のCO2の吸収量は、木の年齢、樹齢に大きく影響するようです。そこで、二酸化炭素森林吸収量を最大化するための間伐、主伐、再造林をどの程度のサイクルで行うべきと考えているでしょうか。  そして、この適切なサイクルを実現するために必要なのが、今回の予算でも盛られているJ-クレジットだと思います。適切な森林管理によるCO2の吸収量をクレジットとして国が認証する制度のことですが、このJ-クレジットによる市町村のメリットをどの程度想定しているでしょうか。また、普及した後のビジョンをどのように考えているでしょうか。  続いて、水資源と森林について小林公営企業管理者に質問します。  冒頭述べたとおり、森林が保水力を高め、川の水を調整してくれています。もしこれがなければ、人の力で水の量をコントロールすることはなかなか難しい。また、森林が水を浄化している一面もあります。我々が飲む水道水に与える影響も大きいかと思います。  水力発電や水道事業の重要な視点であるこの森林の大切さがなかなか県民には広がっていないように感じます。自由な発想を持つ企業局の情報発信力に期待しながら、水力発電及び水道事業者として森林の必要性をどのように認識しているでしょうか。また、企業局として豊かな水を育む森林の重要性をどのように広めていくのでしょうか。  続きまして、治山についての質問になります。  平成18年、私の町、岡谷市で大規模な土砂災害が起きました。貴い命が犠牲になり、そして、災害に強い森林づくり指針がつくられました。当時、災害現場では、樹齢50年の、そして幹の太さが5センチにも満たない木が多く流れ着いていたようです。もし間伐が行われて木がしっかり育っていればあの災害は防げたかもしれないとも言われています。  そして、森林づくり指針がつくられ、対応していただいていたのですが、昨年、残念ながらまた悲しい災害が起きてしまいました。岡谷市で3名の貴い命が亡くなり、そして、茅野の下馬沢川では大規模な土砂災害が起きてしまいました。  長野県の土砂災害現場の森林はどのような状況だったのか気になります。また、危険箇所に対して森林管理を適切にするための取組をどのようにしてきたかも気になります。来年度予算にも組まれており、諏訪地域の西山を調査し、対応していただくようですが、今後の取組に期待したいところでございます。  そこで、土砂災害現場の森林の状況をどのように検証しているのでしょうか。そして、最近の大雨災害発生現場の森林管理は適切に行われていたと評価しているのでしょうか。  このように、森林は私たちの生活に大変身近で大切なものです。森林を適切に管理し、多面的、広域的な機能をしっかり機能させるためには、県民の理解、協力が必要不可欠です。しかし、この大切さがなかなか広がっていない現状があります。そこで、森林の大切さを県民に伝えていく必要性をどのように感じているでしょうか。また、どのように広げていくのでしょうか。以上2点、井出林務部長に伺います。  林業県と呼べるには、まだ長野県は道半ばだと思います。支援なくして自立できる、そして成長する産業にしていただきたい。そして、多面的機能を発揮できる森林にしていただきたい。そんな思いで、次期森林づくり指針の策定に向けては、産業、環境、防災の視点をしっかり取り入れた指針とするべきと考えますが、林業県の実現に向けた次の展開が期待されます。次期森林づくり指針策定に対する阿部知事の思いを伺います。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)10点お尋ねいただきましたので順次お答えいたします。  まず、森林資源の評価と産業への可能性についてでございます。  本県の森林資源は着実に増えており、平成22年に約1億8,000万立方メートルだった蓄積量が、令和2年には約2億立方メートルとなり、10年間で約2,000万立方メートル、年当たりに換算すると毎年約200万立方メートル増加しています。これは、令和2年の素材生産量57万立方メートルの4倍近い量に相当するものです。また、特に、カラマツの蓄積量は、北海道に次いで全国で2番目に多い状況となっています。  こうした中、都市部において県産カラマツ材を使った木造マンションが建築されるとともに、集成材などに加工された県産材が学校の校舎に使われるなど、建築物に対する県産材の需要は確実に増えています。今後、林業経営に適した森林において、主伐、再造林を集中して実施し、生産した木材を県内で製材品等に加工することにより、林業・木材産業の生産量、生産額ともに伸びていく可能性があると考えております。  次に、産業としての林業についてでございます。  本県の林業については、労働者1人が1日当たりどれだけの木材を生産できるかを示す指標である労働生産性により諸外国と比較することができます。欧州の中でも急峻な地形が多いものの、林業立国として知られているオーストリアでは、高性能林業機械の活用や高密度の路網整備により高い労働生産性を実現し、1人1日当たり30から60立方メートルもの木材を生産しているところです。一方、県内の主伐における労働生産性は約6立方メートルと低く、全国平均の約7立方メートルと比較してもなお低位な状況となっております。  次に、林内路網整備や機械化の状況の評価についてでございます。  令和2年と10年前を比較すると、林内路網の密度は1ヘクタール当たり21.4メートルと約1.2倍に、また、高性能林業機械の台数は426台と2倍以上に増加しています。このような林業の基盤整備などによりまして作業の効率化が進み、林業就業者が減少傾向にある中、令和2年の素材生産量は10年前の2倍近い57万立方メートルに増加しております。さらなる素材生産量の増加に向け、路網の開設や改良を一層進めるとともに、一定の導入が進んだ高性能林業機械については稼働率を上げていく必要があると考えております。  次に、ウッドショック下製材工場等の状況についてでございます。  県内の製材工場では引き合いが増えている一方で、設備の規模等から全ての注文に応えることができない状況であり、製造ラインの増設や木材乾燥機の設置など生産加工体制の強化が課題となっております。合板工場については、原木の需要が多方面で高まったことにより原木調達が困難となり、在庫が少ない状況が続いていることから、山側からの原木の安定供給が課題となっております。  次に、エシカル消費に向けた県産材の活用についてでございます。  県では、木づかい空間整備事業として、住宅への利用に加え、多くの県民が利用する店舗やオフィス等の木質化を支援しているところです。県産材の活用は、持続可能な社会への転換やエシカル消費を推進する上でも重要であることから、県としてもより一層力を入れていくことが必要と考えております。  次に、木材製品価格の高騰の状況、林業従事者への恩恵についてでございます。  原木と木材製品の価格を比較しますと、原木より木材製品の価格上昇分は高くなっており、これは製品の加工・輸送コストなどの上昇によるものと考えております。その一方で、製材工場は、従来から取引がある工務店等に高騰分全てを請求することは難しいこともございます。また、林業の現場でも、同様に、林業機械、燃料、資材、運送等のコストの増加による影響を受けていると聞いております。このため、林業事業体に対しスマート化や機械化等により生産性を高める取組を引き続き支援してまいります。  次に、原木価格の推移と対応、シェアの切替えについてでございます。  外材の価格高騰、いわゆるウッドショックに対する関係業界や有識者等の主な見解として、今後の世界的な木材受給は需要が供給を上回る状況が続くと見られており、木材価格は、輸入材、国産材ともに当面は高止まり、その後落ち着いたとしても上昇基調となるのではないかと想定されています。県としては、この原木価格の高騰をチャンスとして捉え、主伐を促進するなど生産量を増やすための取組を引き続き行います。  また、輸入材のシェアを県産材に切り替えるため、はり材など外材主体であった部材の県産材への転換や、外材を主に利用してきた住宅関連事業者の県産材製品の購入に対して引き続き支援をしてまいります。
     次に、原木供給の目標設定についてでございます。  販売額といった金額に関する目標の設定は産業の振興を進める上で重要な視点であると認識しております。現行の総合5か年計画において、森林・林業関係の指標は、素材生産量林業就業者1人当たりの木材生産額の二つを指標として設定しているところでございますが、来年度本格化する次期総合5か年計画と森林づくり指針の策定に当たり、目標の設定についてはしっかりと議論を進めてまいります。  次に、森林吸収量を最大化するサイクルについてでございます。  国立研究開発法人森林研究・整備機構が公表している森林1ヘクタール当たりの年間二酸化炭素吸収量は、樹木の林齢が20年生前後で最大になることが示されています。一方で、森林吸収源対策には木材を住宅等の建築物に利用するなど、都市部での炭素貯蔵量を増やすことも重要であることから、伐採した木材の利用についても考慮し、標準的な伐採時期等を示すことが必要と考えております。  県が樹立、公表している流域別の地域森林計画書では、間伐を実施すべき標準的な林齢及び方法、主伐の標準的な方法、人工造林や天然更新の標準的な方法等の指針を定めているとともに、主要樹種の標準的な伐採林齢を、カラマツ、杉は40年生、ヒノキは45年生と示しているところでございます。  次に、J-クレジットによる市町村のメリットと普及後のビジョンについてでございます。  市町村がJ-クレジットを販売するメリットについては、森林整備に必要な財源が確保でき、より持続的な森林整備が可能となります。普及後については、J-クレジットを環境貢献に取り組む企業や団体に販売することにより、多様な方々の協力による森林整備が進むことに加え、吸収された二酸化炭素の可視化により森林整備の効果等を多くの方に知っていただくきっかけとなることを期待しております。  次に、森林の検証、評価についてでございます。  災害現場における森林の状況については、現地に適する樹種なのか、また、森林の混み具合、幹の太さや根の発達状態等について調査、検証を行っております。昨年諏訪地域で発生した災害において、災害に強い森林づくり指針に基づき立地環境に適した樹木で間伐等による適正管理を行っている森林では、新たな災害は発生しておりませんでした。一方、崩壊した森林では間伐等の手入れが行き届いていない状態であり、幹が細く、根が十分に発達していないものが多く見られました。  来年度から諏訪西山地区で導入する流域保全総合治山事業においては、こうした過去の災害に関する検証と併せ、新たに行う森林整備による機能強化についても効果、検証を行う予定としております。土砂災害の発生要因は、地形、地質や降雨量等も大きく影響するため、森林の状態のみをもって災害防止効果を判断することは困難ですが、適地適木、適正管理の観点による森林の管理を継続することにより森林の持つ土砂災害防止機能が高まるものと考えております。  最後に、森林の大切さを県民に伝えていく必要性についてでございます。  森林は、県土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、木材の生産等の多面的な機能を持つ県民全体の財産です。このような中、森林整備に必要な境界明確化、地域ぐるみによる森林管理、木材利用による資源の活用等について県民の皆様と一緒に取り組んでいくことが重要であると考えております。  こうした森林の大切さを県民に伝え、さらに広げていくために、公共建築物の木質化などの取組により多くの人々に木材利用の重要性や木のよさを伝えていくこと、植樹祭や流域の上流と下流の住民の連携など多くの方々が協働して森林の整備を進めていくこと、ポスター掲示やチラシの配布といった従来の方法に加え、SNSでの発信や動画配信などインターネットを活用した広報活動などに取り組んでまいります。  以上でございます。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)森林についての必要性の認識とその重要性を広めることについての御質問でございます。  議員御指摘のとおり、本県の豊かな水資源を活用し、水力によるグリーン電力と安全で安心な水道水を安定的に供給することとしている企業局においては、水資源の涵養や国土の保全など多様な機能を有する森林から多大な恩恵を受けているものと認識してございます。  このため、企業局では、平成27年度から3年間、豊かな水資源を次世代に引き継ぐことを目的に、奥山の水源林を整備する林務部の事業を電気事業の利益の一部を一般会計に繰り出して支援するとともに、平成28年度に本県で開催された全国植樹祭にも植樹用苗木の購入等に対して財政的な支援を行ったところでございます。  それに加えて、平成29年度からは、発電事業施設の上流の水源林や発電所施設にも通じる林道等を整備する市町村の事業を財政支援するとともに、令和元年度に創設した水の恵みを未来へつなぐ交付金により、市町村が先端技術を活用して取り組んでいる有害鳥獣対策にも支援をしてございます。  企業局といたしましては、改定後の経営戦略において、基本目標を「水の恵みを未来へつなぐ」とし、今年度、発足から60周年を迎えることを契機といたしまして戦略的な広報活動を展開していることから、本県の豊かな水資源を育む森林の重要性について、発電所や浄水場等の施設見学会やイベントなどの機会を捉えつつ発信に努めてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には次期森林づくり指針策定についての思いという御質問をいただきました。  平成22年に現行の指針を策定したわけでありますけれども、おおむね100年先の森林のあるべき姿を明らかにするとともに、10年間の森林づくりに関する基本的な展開方向を定めているところであります。公益的機能の発揮や木材生産の高度化といった重視すべき機能に応じた森林づくりに加えて、林業、木材産業といった産業づくりや森林を支える地域づくりの観点から目指す姿を整理しています。  次期指針におきましては、まずは林業経営に適した森林において主伐、再造林を集中して実施していきたいと思います。多様な樹齢の森林を配置して、木材生産が将来にわたって継続して行えるような森林づくりを基本に据えていきたいというふうに考えております。  また、土砂災害防止や洪水防止といった災害に強い森林づくりはもとより、ゼロカーボン達成にも資する二酸化炭素吸収・固定機能に着目した森林づくり、さらには、森林セラピー基地やリクリエーションとしての森林の多面的利活用にも着目しながら指針の策定を進めていきたいというふうに考えております。  様々な公益的機能を担っている森林は、所有されている方のみならず、社会全体にとっても大変貴重な資産であるということ、そして、そうした森林を資産として生かしていくためには林業の発展が不可欠であるということをしっかり肝に銘じて次期指針の策定に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)木材価格は今後まだまだ上がっていくと予想されているようで、これからの林業の産業としての可能性を改めて感じます。多面的機能をしっかり発揮させるためには、林業が産業として自立、成長することが大事だと思いますので、引き続き御努力をよろしくお願いいたします。  続きまして、諏訪湖環境についての質問になります。  自民党県議団若手有志で、最近、長野県内のアクティビティーを体験しております。サイクリングをしたり、カヤックに乗ったり、先日はスキーにも行ってきました。また、昨年は諏訪湖を泳ぎました。残念ながらコロナの影響で地元3人のみとなりましたが、諏訪湖に潜った目的は、泳ぐことと、もう一つ、諏訪湖の湖底で今行われている覆砂事業、ヘドロを砂に取り替える事業でありますが、この現場を目で見て確認したかった、そんな思いからです。諏訪湖の覆砂の機能については、十分機能を発揮し、今後に期待したいところです。  また、諏訪湖を泳いだ感想を申し上げますと、海水と違って、淡水は爽やかな水です。そして、プールと違って、オープンウオーター、広い環境は大変心地がよく、波も少ないため、泳ぐのに本当に適した環境でした。泳ぐ前は、周りから、本当に泳ぐのかと、そんなことを言われたのですが、実際泳いでみると悪いものではなく、むしろ気持ちいい状況でした。  また、課題を感じました。それは、諏訪湖に入るまでがゴロタ石、砂利道なので、はだしでは入れません。また、更衣室がない。私たちも、泳いだ後にそのまま自分たちの車に乗るのが嫌で、ビニールシートを敷いて、車で移動してシャワーを浴びました。そういった意味で、これから「泳げる諏訪湖」から「泳ぎたくなる諏訪湖」に変えていくには、そういった泳ぐ人の立場になった視点を取り入れることが大事だと改めて感じたところです。  泳げる諏訪湖を目指すとのキャッチフレーズのもと、長い年月をかけて水質浄化に取り組んでいるところですが、今後泳げる諏訪湖を現実的なものにするためには、諏訪湖に入る箇所の覆砂工事を兼ねた浅場造成や、この箇所へのアプローチを容易にするための護岸構造の改変、さらには、更衣室やシャワー室などといった施設整備も検討する必要があると考えます。現行の諏訪湖かわまちづくり計画ではこうした観点まで至っていないと認識していますが、今後どのように取り組めばこうした利活用の促進を図ることが可能となるか、田下建設部長に伺います。  一昨年、そして昨年と大雨災害に遭った際に、諏訪湖に流入する河川に土砂が大量に流れ込み、諏訪湖が大分埋まってしまいました。一昨年の土砂を撤去する前に昨年の土砂が覆ってしまい、かなり諏訪湖が埋まっています。今ではその埋まった場所を人が歩いているような状況になっております。しゅんせつしても大雨が降ればまた埋まってしまう、いたちごっこのような状態で、近年の豪雨などにより河川から土砂の流入が進んでいます。堆砂対策にどのように取り組んでいくか、田下建設部長に伺います。  諏訪湖は、シルクの時代から高度経済成長を支えてきました。シルク産業、ものづくり産業、歴史の中で日本の産業の一翼を担っていると思います。でも、その過程で諏訪湖を汚染してしまったことも事実です。今では考えられないほど汚く、そして、臭いもひどいものでした。諏訪湖の水質も大分改善され、諏訪湖の護岸整備も大詰めを迎え、そして、今はサイクリングロード、ジョギングロードが整備され、周辺には、市町村の協力のもと、公園が整備され、今後、諏訪湖に対する期待が大きく広がっています。  住民からは、諏訪湖の水質をさらにきれいにしてほしい、もっときれいにしなければ駄目だという声も聞かれております。そんな中で、諏訪湖環境研究センター(仮称)が予定されており、これには地元地域の皆様方の期待が大きいところですが、残念ながら1年延期になってしまいました。諏訪湖環境研究センター(仮称)について3点、猿田環境部長に伺います。  諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置は予定より1年遅れとなってしまいますが、令和5年度から研究を開始できるようどのように対応を考えているでしょうか。  また、何度も本会議で質問させていただき、この諏訪湖環境研究センター(仮称)の情報発信機能または学習機能を充実させてほしいという質問に前向きな答弁をいただいていたわけですが、今後どのようになっていくのか、気になります。答弁では、琵琶湖や霞ヶ浦の研究センターと同様と考えているとのことでしたが、この学習機能についても、入館料を取っても利用者が来てくれるほど充実していただきたい、そんな思いがあります。また、この諏訪湖創生ビジョンの拠点として重要であり、諏訪湖環境研究センター(仮称)の学習機能、情報発信機能は、有料でも利用者があるよう充実すべきと考えますが、県としてどのように構想しているのでしょうか。また、センター以外にも湖周には拠点を設けてほしいと考えますが、いかがでしょうか。  昨年、千曲川でも泳ぎました。現実は、カヤックに乗っていて沈没し、泳がざるを得ない状況だったのですが、千曲川と諏訪湖を泳いでみると、どちらがきれい、汚いというわけではなく、明らかな水質の違いを感じました。恐らく流域の農場の数、工場の数、下水道の普及率、接続率、そういったものが大きく影響しているのだと思います。そういった意味では、この諏訪湖環境研究センター(仮称)において県内の様々な状況を比較しながら県内全ての水質改善に取り組むべきと考えます。そこで、全県の湖沼、河川において水質の違いを踏まえた水の浄化を行う必要性があると考えますが、所見を伺います。  続きまして、諏訪湖周が大分充実する中で、今、諏訪湖サービスエリアにスマートインターチェンジの工事が始まっています。これで諏訪湖に一番近いインターができるわけですが、観光面、そして様々な恩恵を受ける箇所となります。そういった意味から、地元の方々も協力して工事が進んでいるわけです。逆に、せっかく諏訪湖に接続されるのだからもっとにぎわいや利活用できるような取組をしてほしいという地元の声もあります。  諏訪湖サービスエリアへのスマートインターチェンジ設置計画を踏まえ、整備中の諏訪湖周サイクリングロードにおいて諏訪湖の拠点となる施設設置をどのように考えているか、田下建設部長に伺います。  子供の頃、父から諏訪湖で泳いだ話を聞きました。その話を学校でしたときに、先生からは、皆さんが生きている間には諏訪湖で泳げることはないよと、そんな悲しい話を聞いてショックを受けたことを覚えています。あれから40年たち、実際にこうして泳ぐことができる諏訪湖になったことを考えると、感慨深いものがあります。  日本の産業を支え、汚染されてしまった諏訪湖を多くの方の努力でここまで改善してきて、そして、さらに取り組もうとしている。そのストーリーは、諏訪地域にとっても、環境県長野県としても、大きなブランドになっていくと思っております。  諏訪湖の歴史は水質との長い闘いであり、それがようやく我々が泳げるまでに改善されてきました。この歴史を取りまとめ、諏訪湖環境研究センター(仮称)などが積極的に発信し、さらなる水質浄化や諏訪地域全体のブランド力向上につなげていくことが必要と考えますが、阿部知事の所見を伺います。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、泳げる諏訪湖の実現に向けた今後の取組に関するお尋ねでございます。  これまで様々な諏訪湖の水質浄化対策に取り組んできておりまして、現状では、ヒシの異常繁茂など課題はあるものの、今後、「泳げる諏訪湖」から「泳ぎたくなる諏訪湖」へと、次のステップに向け、地域全体の機運が高まっていくことが想定されます。  泳ぎたくなる諏訪湖に向けて具体的に取り組んでいくためには、議員御提案の更衣室、シャワー設備などを含め、各市町、民間事業者が行う様々な対策と、河川管理者が行う浅場造成や護岸整備などを新たな諏訪湖かわまちづくり計画に位置づけ、県と関係者が連携して取り組んでいくことが必要になると考えております。  まずは、諏訪湖の将来像を定める諏訪湖創生ビジョンの見直しが来年度に行われることから、地域の方々の議論を注視しつつ、市町や民間事業者と連携し、長野県のシンボルである美しい諏訪湖を核とした地域の活性化に取り組んでまいります。  次に、諏訪湖の堆砂対策に関するお尋ねでございます。  諏訪湖の土砂撤去につきましては、湖底測量の結果に基づき、平成30年度から3か年緊急対策や緊急浚渫推進事業の予算を活用して諏訪湖に流入する河川の河口部等において実施してきております。これまでに約7億円を投じ、7万4,000立方メートルに上る堆積土砂の撤去を行ってきておりますが、例えば、令和2年7月豪雨の際に多量の土砂が流出した砥川において緊急的に実施するなど、諏訪湖への土砂の流出状況を見ながら洪水被害の防止及び軽減に努めているところでございます。依然として土砂の堆砂が見られることから、令和4年度以降においても、5か年加速化対策等の予算を積極的に活用し、地域の皆さんの御意見をいただく中で、土砂流出の著しい河口部を中心に、重点的かつ集中的に堆積土砂の撤去を実施してまいります。  最後に、諏訪湖の拠点施設設置に関するお尋ねでございます。  県では、岡谷市、諏訪市、下諏訪町と共に定めた諏訪湖周サイクリングロード基本計画に、自転車が安全で快適に利用できる諏訪湖まちづくりを目指し、諏訪湖周サイクリングロードの整備を位置づけております。この整備に合わせて、サイクリングロードを快適に利用できるよう、既存の施設も活用しながらサイクルスタンドなどを新たに設置し、休憩スペースの充実を図った小径の駅を8か所計画しているところでございます。  諏訪湖スマートインターチェンジへのアクセス道路の直近では、岡谷市の湊湖畔公園に計画しておりまして、県といたしましては、岡谷市と共に、眺望スポットやにぎわいの拠点となるよう、地元の御意見や御要望をお聞きしながら検討を進めてまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)私には3点御質問を頂戴いたしました。順次お答えいたします。  最初に、諏訪湖環境研究センター(仮称)に関しまして、令和5年度から研究を開始できるようどのような対応を考えているかとのお尋ねでございます。  本センターにつきましては、研究施設という特殊性やゼロエネルギー化への対応などから、建物の改修に要する期間を見直した結果、開設予定を令和6年4月とさせていただいたものでございます。  センターで担っていく調査研究につきましては、開設を待たず、来年度から順次着手していきたいと考えており、具体的には、環境への影響が懸念され諏訪湖でも確認されておりますマイクロプラスチックの問題に対応すべく、極めて微細なプラスチック片の分析が可能な機器を環境保全研究所に導入し、諏訪湖をはじめとする県内の河川、湖沼における実態把握を行ってまいります。  さらに、同じく来年度、国立環境研究所との共同研究に着手するとともに、湖沼に関する県外の研究機関で職員が研修するなどによりセンターがより高度かつ専門的な研究機関となるよう取り組んでまいります。  続きまして、センターの機能充実についてのお尋ねでございます。  諏訪湖環境研究センター(仮称)におきましては、本館エントランスやホールホワイエに専用のスペースを設け、センターの研究成果はもとより、水環境について自ら学べる要素を積極的に取り入れた展示コンテンツを提供してまいります。また、本館研究エリアやホールを活用し、公開講座やイベントなどの開催を考えており、施設全体を学び、情報発信の場としてまいります。  さらに、湖周には、豊田終末処理場、信州大学諏訪臨湖実験所、水産試験場諏訪支場、諏訪湖博物館など諏訪湖について様々な視点から学ぶことができる施設が既に立地しておりますので、それぞれの施設の特色を生かし、有機的に連携することで、諏訪湖全体が大きな学びと情報発信の拠点となるよう取り組んでまいります。  3点目でございます。県内の湖沼、河川における水質改善についてのお尋ねでございます。  昨年度、COD、化学的酸素要求量の環境基準を達成した湖沼は全体の4割にとどまっておりますが、長期的に見て多くの湖沼で水質が改善してきております。また、ほぼ全ての河川でBOD、生物化学的酸素要求量の環境基準を達成している状況にございます。  河川や湖沼の水質につきましては、流域の土地利用や水の流れの状況などにより異なってまいりますが、特に、水質汚濁の観点から、生活排水、事業場排水、非特定汚染源などの汚濁要因の特定に努め、それを踏まえて流域での取組につなげてまいりたいと考えております。  先ほど臭いという御指摘もございましたが、BOD、CODといった水質の環境基準項目は一般的には分かりづらい指標であることもありますので、水のきれいさを分かりやすく評価できる指標や目標の設定につきましても諏訪湖環境研究センター(仮称)におきまして研究してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、諏訪湖の水質改善の歴史を取りまとめて地域全体のブランド力向上につなげていくことが必要と考えるがどうかという御質問をいただきました。  全国の湖沼で水質浄化はなかなか思うように進まない中、諏訪湖においては、アオコが激減するなど、水質浄化が劇的に進んできた湖として国内外で注目されているところだというふうに考えています。これは、下水道整備、工場、事業場の排水規制、農地からの汚濁負荷量削減への取組など、「よみがえれ諏訪湖」を合い言葉にして、住民の皆様方、企業の皆様方、そして私ども行政が一体となって総合的に諏訪湖の水質改善に取り組んできた結果だというふうに考えています。  新しく設置する諏訪湖環境研究センター(仮称)におきましては、これまでのこうした熱心な取組の成果や蓄積されている水質改善の貴重なデータを諏訪湖環境改善の歴史として集約をしていきたいというふうに思っておりますし、また、化学的見地から評価、検証して、諏訪湖を含む湖沼のさらなる水質改善に生かしていきたいというふうに考えております。  また、次のステージとして諏訪湖創生ビジョンの改定を行いますので、泳ぎたくなる諏訪湖、シジミがとれる諏訪湖の実現に向けて地域一体で取組を進めていくとともに、環境のみならず、観光、産業、暮らし、健康面等々様々な魅力を発信することにより、諏訪地域全体のブランド力の向上にもつなげていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)私は、諏訪地方6市町村の合併に一生懸命だった時期があります。また、リニア中央新幹線を茅野に来させるために一生懸命だった時期があります。残念ながら両方とも実現しませんでした。そんな中で、今、下伊那地域でやっているリニアの工事、そして、合併した後の町が元気になっていく姿を見る中で、これから諏訪地域をどうしなければいけないかと悩むときに、この諏訪湖、そして、諏訪湖創生ビジョンが大きな希望であります。諏訪湖をしっかり浄化して、みんなが楽しめる、誇れるような諏訪湖をつくってこの諏訪地域の原動力にしたい、そんな思いがある中で、来年度からつくる諏訪湖創生ビジョンに期待しておりますので、ぜひ御尽力をよろしくお願いします。  そして、最後に、前々回宮下議員もおっしゃいましたが、今年も恐らく私たちは諏訪湖で泳ぐと思うので、阿部知事にも一緒に泳いでいただければとお願いして、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、熊谷元尋議員。       〔12番熊谷元尋君登壇〕 ◆12番(熊谷元尋 君)熊谷元尋です。  昨年4月にオープンした長野県立美術館は、コロナ禍での船出となりましたが、魅力ある内容の展覧会等が集客につながり、これまでに72万人の方が来館され、順調な滑り出しができたと伺います。  一方、長野県立歴史館は、開館以来、長野県の歴史の調査研究にとどまらず、県民や県外から訪れる方が長野県の歴史を学び、遺産を次の世代に継承するなど、大きな役割を果たしています。そこで、両施設への入館者数と、入館者は県内から訪れるのか、それとも県外からであるのか。県内であればどの地域から来られるのでしょうか。中坪県民文化部長並びに原山教育長にお伺いします。  次に、これまで、南信州地域に住んでいる県民は、長野市までの距離が100キロ以上と遠いこともあり、旧信濃美術館や県立歴史館へ行く機会が少なく、親しみをあまり感じてこなかったのが実情ではないでしょうか。例えば、昨年度、県立歴史館の常設展示及び企画展における来館者のうち南信からの来館者数は、県内他地域や県外者より少ないそうです。しかし、伊那谷は民俗芸能の宝庫とも言われ、歌舞伎や人形芝居、祭りや手作り花火等を自治体と住民が大切に保存するとともに次の世代に伝承しており、美術や歴史に興味がないわけではないと思います。むしろ旧信濃美術館や県立歴史館を南信の方や県民が身近に感じ、そして親しまれるような取組が足りなかったのではないでしょうか。また、長野市から離れている南信地域に住む県民は、県立美術館や県立歴史館の恩恵をひとしく享受できているでしょうか。見解を阿部知事にお伺いします。  次に、県立美術館や県立歴史館が行う移動展や交流展及びお出かけ歴史館等の開催を増やすなどして県民が県立美術館や県立歴史館を身近に感じ、親しむことができるよう取り組んだらいかがでしょうか。開催状況と今後の地域との連携について、中坪県民文化部長並びに原山教育長にお伺いします。  また、例えばテーマパークで行うような優待日を参考にして南信の日などを設けて優待する取組、あるいは、両館共通のチケットや、二つの施設を回ると入館料を割り引くなどはいかがでしょうか。中坪県民文化部長にお伺いします。  次に、令和4年度当初予算案には、県立美術館が善光寺御開帳と連携した企画展等の開催が含まれていますが、具体的にどのような内容ですか。また、善光寺には年間約600万人の参拝者が訪れると言われます。そして、御開帳の期間には、2003年に625万人、2015年には707万人が訪れ、年間を通して善光寺には約1,200万人が訪れるそうです。仮に善光寺を訪れる人の1%が県立美術館へ足を運べば約12万人となり、県立美術館を知っていただくよい機会になります。しかし、県立美術館への入館者数の目標は、2021年度60万人、2022年度も60万人ということです。これでは御開帳の効果が反映されていないと思いますが、いかがでしょうか。  また、上伊那地域振興局が企画したみすずハイウエイバス利用促進実証実験事業を参考に、善光寺と県立美術館お得にアートきっぷ、あるいは善光寺と美術館と仲見世通りにQRコードを設置し、スタンプラリー形式で回れば特典をつけるなど、美術館への誘導について中坪県民文化部長にお伺いします。  次に、県立美術館では東山魁夷唐招提寺御影堂障壁画展が開催され、好評であったとお聞きします。私の地元にも、今回の展覧会を逃すと長野県で再度見ることは難しいということで県立美術館で鑑賞された方がいる一方、新型コロナウイルス感染症の拡大や雪の影響で鑑賞できなかった方もいます。そこで、例えば、県立美術館や県立歴史館の収蔵品やイベントなどをインターネット等で配信し、家庭で見たり、飯田市の美術博物館や地域の文化施設で鑑賞できるようにするなどの工夫ができないのでしょうか。  先日、県立美術館の松本館長さんに話をお聞きした際、美術館の役割は本物を見せることだと思っていたそうです。しかし、美術館から遠い方、高齢者の方、勤めの方、障害のある方など、ふだんから美術館に来ることが難しい皆さんが、例えば映像を見ることで作品等に興味を持ち、美術館に本物を見に来ていただくきっかけにすることも大切とおっしゃっていました。そこで、県立美術館と県立歴史館におけるデジタル化の現状と課題を中坪県民文化部長並びに原山教育長にお伺いします。  次に、高森町歴史民俗資料館では、日本最古の貨幣である富本銭が出土した古墳の内部をVRゴーグルで360度見ることができます。また、北相木村の考古博物館では、土器を3Dデータ化し、インターネットで公開するとともに、遺跡をVRゴーグルで見ることができるそうです。もちろん本物を見ることが一番好ましいのかもしれませんが、美術館や歴史館のデジタル化を進めることで、今までにない伝え方も可能になり、学校での学習にも活用できます。例えば、同じ土器でも北信地域と南信地域では違うそうですが、南信地域の児童生徒が北信地域の土器をVRで見ることで、県立歴史館へ行き、本物の土器を見るきっかけになることも考えられます。  私は、県立美術館や県立歴史館のデジタル化をさらに進め、社会貢献や教育活動に活用するなど、県民生活の質の向上や行政サービスの向上に役立てるべきと考えます。そこで、デジタル化に対する今後の取組とDX時代における美術館や歴史館の在り方、役割を中坪県民文化部長並びに原山教育長にお伺いします。  次に、南信州地域内のある自治体の教育委員会に、小学校4年生で行く社会見学の場所を学校に聞いていただきました。見学場所は、県庁と善光寺、そして新聞社で、県立美術館や県立歴史館は入っていません。その理由は、社会見学は社会の学習のために行うのであって、歴史の学習のために行うのではないからということです。そして、歴史館は6年生ならよさそうですが、そのためだけに行くには遠く、美術館は児童には内容が難しそうということでした。  そこで、両施設には、年間に県内の小中学校や特別支援学校等の何校が来館しているのでしょうか。地域別にお伺いします。また、オンライン学習など学校教育との連携の現状と今後の取組と課題について中坪県民文化部長並びに原山教育長にお伺いします。  先日、地元の新聞に、菱田春草の名画鑑賞作文コンクールで優秀賞を受賞した高森南小学校3年生の児童の作文が掲載されていました。  いい田美じゅつ館にひし田春草の絵を見に行きました。わたしはたくさんの絵の中で、「黒き猫」が一番心にのこりました。この絵は、かしわの太い木の上に黒いねこがいる絵です。毛はふわふわとやわらかそうなのに、目はキッとにらみつけるようにするどくて、耳はピンッと立っている。手はグッと力強くつめがでてそうなくらいふんばっているねこです。  ひし田春草の絵には、からす、すずめ、他にも黒いねこ、白いねこがいました。それはみんなもっとやさしい目でふんわりとしたおだやかな絵ばかりです。  図書館でひし田春草を調べたらこの人は病気でわかいのになくなってしまった人です。病気になっていても絵を書きつづけていました。「黒き猫」は病気とたたかっている時に書いた絵だとわかりました。
     わたしはひし田春草は病気と強くたたかうぞ、生きるぞ、という思いで書いたのかなと思いました。そんなひし田春草の心の強さを感じる絵なのでとてもすきになりました。もしわたしが病気になったり、かなしいことがあったら「黒き猫」を思い出して春草のように強くがんばりたいです。そんな気もちにしてくれる絵でした。 という内容です。本当に県立美術館や県立歴史館の見学は児童には難しいのでしょうか。  また、県立美術館や県立歴史館を長野県の将来を担う高校生の学びの場として活用できると考えますが、見解を原山教育長にお伺いします。  次に、県立歴史館は開館から30年近くになり、施設の老朽化等による不具合や課題が出始めているようです。先日訪問したときは、丸山晩霞展が企画展示室で行われていました。笹本特別館長さんは、例えば山梨県立博物館の企画展示室の広さは約757平方メートルであるのに対して、長野県立歴史館の企画展示室は約292平方メートルと狭く、今の企画展示室の広さでは大きな催しを開くことが難しいとおっしゃっています。  また、県立歴史館と県立美術館及び県立図書館、信州大学附属図書館とでMLA連携の一環として「知の連携フォーラム」を行っているそうですが、通信環境に差があるということです。さらに、学芸員や職員の人材確保や育成などが必要のようです。そこで、県立歴史館の課題をどのように受け止めていらっしゃいますか。また、来年度は県の総合5か年計画及び長野県芸術文化推進計画が最終年度です。中長期的な課題については計画的に進めるべきと考えますが、見解を原山教育長にお伺いします。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)御質問に順次お答えいたします。  まず、美術館の入館者数と地域属性についてのお尋ねでございます。  昨年4月の開館から本年1月末までに約72万人の皆様に御来館いただきました。入館者の地域属性を申し上げますと、来館者アンケートにお答えいただきました約700人の集計結果によりますと、北信地域から44%、東信が7%、中信9%、南信4%、県外が36%となっております。  次に、地域に出向くイベントの開催状況と今後の取組についてでございます。  美術館では、今年度、下條村の多目的施設と伊那文化会館の美術展示ホールの2か所で移動展を、また、小海町高原美術館で交流展を開催いたしました。このうち下條村では「南信州のアート紀行」と題して、美術館が所蔵する菱田春草などのゆかりの作家の作品を中心に、アートを通して南信州の魅力を再認識いただく機会を設けました。  また、小海町の交流展では、学芸員同士が企画、アイデアを出し合い、佐久地域の風景を描いた両館の所蔵作品や、ゆかりの深い作家の作品を展示いたしました。引き続き、県立美術館のコレクションをより多くの県民の皆様に鑑賞していただけるよう、開催地の希望も十分取り入れながら移動展や交流展を開催してまいります。  次に、共通チケットや優待日の設定についてのお尋ねです。  近隣の類似する施設との連携につきまして、県立美術館では既に北信エリアの15の美術館、博物館とネットワークを組んでおりまして、善光寺平アートラインという名称で共通割引を実施しております。こうした館同士の連携による取組をさらに広げていけるよう検討してまいります。  また、優待日の設定につきましては、現在両館とも実施はしておりませんけれども、県内各地域の皆様に親しみを持って足を運んでいただけるように、地域ごとの優待日の設定について今後検討してまいりたいと考えております。  次に、新年度の善光寺と連携した事業についてのお尋ねです。  善光寺御開帳を記念した企画展として「善光寺さんと高村光雲」展を開催いたします。東京藝術大学に協力をいただきまして、高村光雲が制作に携わった仁王門の金剛力士像をはじめとした善光寺の仏像について、AR、拡張現実の技術を活用して仏像を立体的に再現する展示を予定しております。  開催に当たりましては、善光寺様から貴重な資料を提供いただくほか、善光寺参拝券の裏面に展覧会のPR告知を掲載いただいたり、境内に案内看板を置いていただくなどの御協力をお願いしまして、御開帳との相乗効果を図ってまいります。  なお、美術館と善光寺の共通割引の取組としまして、善光寺内陣の参拝券を持参された方に対して美術館の入場券の一部割引サービスを行っております。御開帳期間中も引き続き実施いたしまして、誘客を図ってまいります。  次に、美術館の来館者の目標についてでございます。  来年度の目標は60万人としておりますが、内訳は、企画展、コレクション展など展覧会ごとに積み上げた目標値約38万人に無料ゾーンの目標値約22万人を加えたものでございます。御開帳の効果につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により具体的に見込むことが難しい状況のため、60万人というふうにしておりますが、御開帳に併せた企画展も計画しておりますので、御開帳の効果を取り込みつつ、目標を上回る多くの方にお越しいただけるよう文化振興事業団と共にしっかりと誘客に努めてまいりたいと考えております。  次に、善光寺と県立美術館お得にアートきっぷという取組を実施してはどうかとのお尋ねでございます。  現在、上伊那地域振興局が実施しております実証実験につきましては、高速バスの利用機会の創出を主な目的とした事業であるというふうに承知しております。こうした事業を実施するためには、割引に伴って生じる費用を負担する必要がありまして、予算措置も必要となってまいります。このため、御開帳期間における実施は難しいと考えておりますが、3月下旬までのこの事業の実施結果を踏まえまして、必要に応じ美術館の今後の取組に生かしてまいりたいと考えております。  次に、QRコードを使ったスタンプラリーを行って来館を誘導してはどうかとのお尋ねです。  善光寺や仲見世通りなどの周辺一帯を面として捉えて回遊性を高めて集客を促進するという視点は、非常に大切だというふうに認識しております。  御提案のスタンプラリーにつきましては、こうした取組のノウハウを持っていない美術館が主導して実施することは難しいため、民間企業、あるいは商工観光団体が主催するこうした取組に参加することが考えられます。現在のところ、御開帳に併せたスタンプラリーが複数計画されておりますが、残念ながら美術館が参加できる企画がないことから、今後同様の取組があれば美術館も参加できるよう働きかけてまいります。  次に、美術館のデジタル化の現状と課題についてです。  美術館では、収蔵しております約5,600点の作品全てをデータベース化しておりまして、インターネットで作品検索をいただくことができます。また、常設展示や企画展の様子を学芸員が解説した動画をアップしておりまして、インターネットで鑑賞いただくことができるようになっております。  今後の課題としまして、今回の美術館整備に際して、例えば時間制での来館にも対応できる高度なチケット販売システムですとか、収蔵品を高精細な映像で紹介できるコレクションビューアーなど最新のデジタル技術を導入しております。今後、このような設備が持つ機能を余すことなく活用して、サービスのさらなる向上につなげていく必要があると考えております。  次に、DX時代における県立美術館の在り方、役割についてでございます。  美術館の役割は、直接作品を鑑賞して様々な感性を養っていただくということとともに、大切な作品を後世に伝えていくことにあります。DX時代にあっては、デジタル技術を活用することによって、こうした美術館としての機能をより高め、一層身近な開かれたものにしていくことが可能になると考えます。  具体的には、デジタル技術を使って作品の理解を深めるための手助けをしたり、貴重な文献や資料のデジタルによる保存継承、また、場所や時間などの制約を超え、障害のある方にも作品に触れていただく機会を拡大していきたいというふうに考えます。DXの時代においても、率先して先端技術を活用し、県内の中核を担う県立美術館としての役割を果たしてまいります。  最後に、社会見学や学校教育との連携についてのお尋ねです。  社会見学は、今年度、いずれも延べの数字でございますが、小学校は、北信55校、東信17校、中信6校、南信12校、中学校は、北信9校、東信1校、中信6校、南信1校、特別支援学校は、北信13校、中信2校に御来館いただきました。  また、学校教育との連携の取組としまして、教員向けには、子供たちが美術品の鑑賞学習に楽しく向き合っていただけるようにテーマの設定や鑑賞のポイントを学ぶ講座を開催したり、美術教員向けの研修会を開催しております。また、こども病院などの院内学級に出かけまして、絵の具や粘土等を用いて工作を体験するこどもアートラボを行っております。  今後の課題として、開館とともに重点活動としてスタートいたしました子供たちに美術館を体験いただくスクールプログラムがまだ十分活用いただけていないことが挙げられます。より多くの子供たちや先生方に美術鑑賞だけでなく様々な形で美術館を使っていただけるよう、今後も積極的に働きかけていきたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県立歴史館についてのお尋ねでございます。  まず、昨年度の入館者数と地域属性についてでございますが、令和2年度の県立歴史館の入館者数は4万3,778人、入館者の地域属性は、全ての入館者を調べてはおりませんが、企画展の入場者アンケート結果によりますと、北信地域が約53%、東信地域が約16%、中信地域が約8%、南信地域が約9%、県外、その他が約15%となっているところでございます。  続きまして、お出かけ歴史館等のイベントの開催状況と今後の取組についてでございます。  お出かけ歴史館の開催状況は、令和2年度は6回、今年度はこれまでに4回開催しておりまして、中南信地域の小学校や公民館等を会場にして、実物の土器に触れるなどの体験型の出前授業を実施しているところでございます。  また、今年度は、阿智村の満蒙開拓平和記念館と連携しまして「青少年義勇軍が見た満州」展を開催したり、中南信地域の市町村教育委員会等との共催で公民館や図書館のロビーでパネル展を実施したほか、考古学や近世史をテーマとした出前講座を開催しているところでございます。引き続き中南信の学校と連携したお出かけ歴史館を充実させるとともに、市町村や地域の博物館等との連携を重視して、企画展やイベントの開催に取り組んでまいります。  県立歴史館のデジタル化の現状と課題についてでございます。  収蔵資料のデジタル化を継続的に実施しておりまして、これまで、信濃史料29巻30冊、明治期村絵図・地図958点、宮坂武男城郭鳥瞰図858点などをデジタル化して歴史館のホームページ等で公開しております。  また、「おうちで歴史館」と題しまして、常設展示や企画展の様子を職員の解説を交えて動画にまとめ、インターネット上に公開しております。デジタル化を進めるに当たりまして、館内のインターネット通信環境に課題があるため、今年度回線の高速化を進めているところでございます。  DX時代における県立歴史館の在り方、役割についてでございますが、博物館の使命として、本物の歴史資料を間近で見て触れることができる体験学習の場の提供が重要だというふうに考えております。  一方、遠方であることなど様々な理由で来館しにくい県民の皆様にも歴史館を身近に感じていただくために、収蔵資料のデジタル公開や講演会やセミナーのオンライン配信など、デジタルならではの利点を生かした取組もますます重要になるというふうに認識しております。今後も、実物との触れ合いを充実する取組を進めるとともに、デジタル技術を活用した取組を推進することで、歴史教育の拠点としての役割を果たしていきたいと思っております。  次に、学校の社会見学の実績と今後の学校教育との連携についてであります。  今年度、小学校では、北信地域から77校、東信地域から43校、中信地域から34校、南信地域から28校が、中学校では、北信地域から2校、中信地域から2校、南信地域から1校が、特別支援学校では、北信地域から2校が来館しております。  議員御指摘のように、見学に適する年齢というものは決まっているものではなく、美術館や博物館で本物に接することは、あらゆる子供たちの感性や探究心が刺激されるものだというふうに考えております。  県立歴史館では、新型コロナの感染予防対策を講じた上で、幅広い学年に対応した職員による展示解説や学習シートの活用で、子供たちの感性や探究心が刺激され、より一層学習効果が高まるような取組を行っております。また、学校への出前授業としてお出かけ歴史館事業に取り組むとともに、ホームページ上に、子供たちが来館しなくても歴史館を楽しめるこども歴史館を開設したり、昨年度は南箕輪小学校と連携し、オンライン出前授業も実施したところであります。  今後は、オンラインを活用した学校教育との連携強化のため、学校側のニーズを踏まえ、出前授業の内容などソフト面の充実を図ってまいります。  高校生の学びの場として両館を活用することについてでございます。  高校生が行う個人やグループでの探究的な学び等におきまして両館の活用ができるものと思っております。  例えば、美術の空間デザインを学ぶ授業で県立美術館を訪れ、作品と建築物の一体的な調査の様子に触れながら、機能性や創造性、芸術性を感じ取る。あるいは、美術部の作品を県立美術館の交流スペースをお借りして展示して、来館者から講評していただく。沖縄への修学旅行の事前学習で松代大本営と県立歴史館を訪れて、県民が体験した戦争の実相について触れるなどの活用が考えられるところでございます。  施設の老朽化、あるいは職員の確保などの課題についてどう受け止め、今後どう取り組んでいくかというお尋ねでございます。  施設面の課題につきましては、平成6年の開館以来、随時必要な修繕を行ってまいりましたけれども、全体として経年による劣化が進んでいるとともに、資料の増加に伴う収蔵スペースの不足も課題となっているところでございます。また、人材面においては、今後の職員の定年退職などによりまして、専門性の高い人材の確保が課題であるというふうに認識しております。  今後、施設面の課題につきましては、ファシリティマネジメント計画に沿って計画的に改修を進めるとともに、収蔵スペースの不足については、来年度以降、県立学校の空き教室を改修するなどによりまして保存施設を確保していく予定でございます。また、人材面においても、専門職員の計画的な採用を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、歴史館が本県の歴史研究、歴史学習の拠点としての機能を十分発揮し続けられるよう、中長期的な視点から計画的に対応してまいりたいというふうに思っております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県立美術館と県立歴史館に関連いたしまして、南信州地域、非常に遠い地域の皆様方にも親しまれるための取組、そして、両館の恩恵をひとしく享受できているのかという御質問であります。  この御質問の観点は、私も非常に重要な課題だというふうに思っております。長野県は非常に面積が広い県でありますので、県立の施設をどこに設置しても、そこから距離が遠い方たちの利便性の確保、あるいはそうした皆様方への効果がどう発揮されるかということは常に考えていかなければいけない課題だというふうに思っております。  今回、新しい県立美術館を造るに当たりましても、当初からその点は強く意識させていただいたところであります。基本構想の中にも、例えば、広い県土を有する長野県の特性を踏まえ、地域へのアウトリーチ活動に力を入れるというような観点や、県内は全国一美術館が多いわけでありますので、県内美術館の中核を担う役割を果たすということで、県内美術館と連携、共同した巡回展の開催や展覧会の共同企画、こうしたことをしっかり位置づけて取り組もうということでスタートさせていただいております。  県民文化部長からもお答えしているように、例えば、県立美術館の移動展やお出かけ歴史館を通じて、地域の皆様方にできるだけ近いところでということで取組を進めておりますけれども、南信州をはじめ遠い地域の皆様方からすると、まだまだ十分ではない部分があるのではないかというふうに思います。常に改善、工夫を重ねていくということが重要だというふうに考えております。  今後とも、こうした今まで取り組んできたことの充実を図っていきたいというふうに思います。私としても、例えば地域ごとの優待日、これは遊園地等で行われている取組でありますが、そうしたものや、また、先日県立美術館へ行ったときには、ある市町村の公民館の皆さんがバスを仕立ててお越しいただいていましたので、そうした公民館活動との連携といったようなことも含めて工夫ができないかということを検討していきたいというふうに思っております。また、美術館も歴史館もいずれも学びの場として重要な拠点でありますので、学校、教育委員会、とりわけ市町村の教育委員会ともしっかり連携していくことが重要だというふうに考えております。  熊谷議員から様々な積極的な御提案をいただいたことを大変ありがたく思っておりますので、今後とも、美術館、歴史館からの積極的な提案を促していきたいというふうに思いますし、また、県民文化部、教育委員会においても具体的な施策を常に検討していくようにしていきたいというふうに思います。  物理的な距離を縮めるにはなかなか難しい面がありますが、アクセスの改善や心理的な距離を縮めることによりまして、より多くの県民の皆様方に両館に親しんでいただき、そして、愛着を持っていただくことができるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔12番熊谷元尋君登壇〕 ◆12番(熊谷元尋 君)美術館や歴史館、博物館も含めてですけれども、これまでは、どちらかと言えば、作品を集めて、保存して、そして調査研究、こういったものが主なもので、人に見てもらうということは二の次だったというふうに思います。美術館とはこうあるべきだ、歴史館とはこうあるべきだというような固定観念に縛られることなく、少し経営の観点も入れていただいて、見る人に喜んでいただく、そして、県民に親しまれるような美術館、歴史館にしていただくことを期待して、私の質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、花岡賢一議員。       〔10番花岡賢一君登壇〕 ◆10番(花岡賢一 君)私からは、まず、多くの方が取り上げている温泉について、重要な観光資源として活用していく観点からお伺いいたします。  昭和63年から平成元年にかけて行われた自ら考え自ら行う地域づくり事業、いわゆるふるさと創生一億円事業ですが、それは、それぞれの自治体が地域の特性を生かすべく、様々な趣向を盛り込み、行われたものでありました。その中には、特殊資源の活用として温泉開発や温泉探査事業が多く見てとれます。それぞれの自治体がふるさとに憩いの場などを求めて夢を掘り当てた時代がある一方で、旧来より湯治場として栄えていた温泉地も県内には多く存在しています。新型コロナの感染がいまだ予断を許さない中、この今ある温泉というコンテンツをブランドとして高め、ウィズコロナやアフターコロナとなった際に、県内、県外、そして海外の方々に選んでもらえるキラーコンテンツとして対策をとっておくことが重要と考えます。  先日、温泉の湯船にのんびりとつかり、効能を眺めていると、どこか調子がよくなった気になりました。リラックスから来る健康への効果も考えてみながら脱衣所に戻ってみると、そこには成分表が掲げてあり、さも体によいことをした達成感まで与えてもらい、戻ってきたのですが、この温泉というものに対して、環境省が、温泉地を中心とした自治体、団体、企業等による「チーム新・湯治」というネットワークを構築していることを知ります。  温泉地の協力を得て効果の測定を行うプロジェクトで、平成30年度から令和2年度までの3か年の調査を行った内容であり、長野県もそのチームに参加しておりますが、それはどのような取組を行っているのでしょうか。また、環境省は全国の温泉地の協力を得て療養効果に係る調査を行っていますが、その結果はどのようなものでしょうか。  今回の調査は療養効果の調査でありますが、そもそも温泉の効能についてはどのように決められているのでしょうか。また、温泉地などで温泉の効能を発信することは誘客に効果があると考えられますが、効能についてはどのように活用されているのでしょうか。ここまで2点、健康福祉部長にお伺いいたします。  コロナ禍において、観光産業の厳しさを感じると同様に、様々な知恵を絞ってお客様に来ていただく内容を全国で見てとることができますが、入浴というものは、ほかに比べてマスクを外す時間が長い観光コンテンツであるという難しさがさらにあります。試しに、先日マスクをしてサウナに入ってみましたが、やめたほうがいいです。周りの人から冷たい目で見られた上に、濡れてしまい、入浴後につけることができません。そもそもかなり息苦しく、長時間の着用は不向き、リラックス感は皆無でありました。  コロナに対する反転攻勢の例として、群馬大学が実証した草津温泉の湯畑源泉が新型コロナウイルスの感染力を90%以上減らす効果があるといった内容は、昨年の観光委員会内で竹内正美委員が取り上げられています。また、逆に、浴場では高湿度と高温によって感染は広まらないといった迷信じみた内容も耳にしますが、90度以上50分間で不活化するという報告はあるが、40度から42度で湿度60%程度の浴室で伝播性が弱まることは考えにくい。高温多湿の環境では伝播が起こりにくいという報告もあるが、浴室などでは、湿度も高く、せきをした場合、その飛沫がある程度浮遊することを考えたほうがよく、浴室など人の密集する場所に感染者を入れないことは重要であると日本温泉協会の温泉施設における新型コロナウイルス対応のガイドラインで示していることも併せてお伝えしておきます。  また、廃墟状態が散見され、ほかの観光や治安に悪影響を及ぼしてしまっている鬼怒川温泉の現状を考えると、今やっておくべきことの重要性を強く感じます。  長野県観光機構では、県内の温泉地の新しい過ごし方を検討するために、温泉地Re・デザイン事業を実施してきた経過がありますが、この事業の成果はどうだったでしょうか。今後の展開も含めてお伺いいたします。  また、この事業内に記されているONSEN・ガストロノミーツーリズムについては、県内自治体等の取組、その状況と今後の展開を併せてお伺いいたします。この2点は観光部長にお答えいただきます。  最後に、猿も好む温泉があり、その情景が観光資源ともなっている本県でありますが、この豊富で多様な温泉資源は今後も大いに活用されるべきものと考えます。長野県観光戦略2018、その最終年として、また、新年度を信州観光復興元年と位置づける中での温泉に対する考え方と今後の県の観光振興の方向性について知事の御所見をお伺いいたします。  続いて、平成27年の本会議でも取り上げましたキッチンカーについて、その活用状況などをお伺いいたします。  質問として取り上げた当時を思い起こせば、東日本大震災の被災地に炊き出しに向かった経験を基に、災害対応について派遣等の対応ができないのかとキッチンカーの機動力を含めたポテンシャルについて触れましたが、その後、令和元年台風19号の災害の事例となりますが、豪雨の影響で佐久市地籍で土砂の崩壊の可能性が急に高まり、急遽避難された皆様に温かい食事を届けることができたことを考えると、毎年発生してしまっている災害に対する備えとして連携をとっておく重要性を改めて感じます。  また、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点や消費者マインドの転換等から、飲食店がキッチンカーによる営業形態に転換するケースが多く見られます。その営業許可件数は現状どのように推移しているのでしょうか。  また、全国でキッチンカーに係る衛生ルールが保健所ごとに異なるケースとして、排水タンクの容量によって許可が段階的に設けられている事例などがあります。東京都の例を挙げると、簡易な調理や1品目のみと制限される中、おにぎりに対しては、複数の工程で大量の水を要する調理とみなされて、排水タンクは200リットルが必要であると判断され、その中にあっても、現実には都内において80リットルで認めている自治体もあります。排水タンクの容量は、車両を改造する際の内部構造に大きく関係しますし、初期費用やメンテナンスに影響を及ぼします。  そのような中、御当地規制により混乱が生じている例が見られるのですが、本県には県管理の保健所と中核市として設置されている保健所が存在しています。どのような状況でしょうか。厚生労働省の動きもありますが、ここまで2点、健康福祉部長にお伺いいたします。  さらに、営業局においては、キッチンカー等での販売機会を探している事業者と、イベント主催者や出店可能なスペースの管理者とを結びつける販売機会マッチングNAGANOを運営していますが、現状について営業局長にお伺いいたします。  以前、知事は、災害時におけるキッチンカーの派遣調整に取り組んでいく内容を述べられていますが、現在の取組の進捗状況についてはどのようになっているでしょうか。また、災害時の派遣への協力については、キッチンカーの営業申請の際に事業者に依頼をしておくことも重要と考えますが、どのようになっているでしょうか。こちらは危機管理部長にお伺いいたします。  続けます。今回のこの質問の項目を「おせっかいの可能性」としてお伺いしようと考えていたのですが、先週開かれた議員連盟の総会で提出されることが決定した県民の希望をかなえる少子化対策の推進に関する条例に対して私自身も思いが強いことと、自身の体験談を踏まえ、項目を「婚活・子育て支援について」として一部掘り下げてお伺いいたします。  かつての結婚へのプロセスと言えば、運命の出会いというものか、近所のおせっかいな方が出会いの仲介役を果たすことが主でありました。しかし、現在においてはAI婚活が主流となっております。  先日、会派主催で中央省庁との意見交換を含んだ勉強会をウェブで行いましたが、内閣府子ども・子育て本部も未婚化や晩婚化が少子化の主な原因と認識している中、未婚者、これは定義が18歳から34歳を指していますけれども、その結婚意識については、1987年の調査と2015年の調査に大きく差がないことが示されています。加えて、全国結婚相談事業者連盟が昨年行ったアンケートでは、AIが紹介する異性に会いたいと回答された方は90%を超えています。政府も、地方自治体が行う事業について支援をする内容を発表していますが、AI婚活は、言わば運命の赤い糸を可視化するかのような有効なツールであることに間違いはないと考えます。そして、それを進めていくことに異論はありません。  しかし、おせっかいというものが機能していた時代には、「この人の紹介ならば大丈夫」といった信憑性が高まったものがあったのに対して、AI婚活はその信憑性が低い内容を耳にする機会がありました。「行政が行うならば大丈夫」となり得るのかを考えると、システムの高度化は急ぎで進めなければなりません。  信憑性を観点とすると、それを高めるのに理容店や美容院に協力していただき、施術後の写真を撮り、統一の様式で登録まで行うことができれば、お店というものが担保となり、信憑性が上がるのではと考えました。お髪を整えに向かうときは、誰もが美しくなりたい、格好よくなりたいと思って向かいます。また、美容師さんや理容師さんなどは、よほどの悪意がない限り、自分の作品たるお客様を不格好にはしません。成人式に向かう若者の着つけ後の姿やばきばきにパーマをかけて出てくる姿や状況を見ると、整えた後が一番の勝負顔となるはずです。同時に、結婚相談所に向かうのに比べ、初めの一歩というものを踏み出しやすくなる可能性も高いです。  ここが一番重要なのですが、結婚したいと踏み出せる、そういった方は、相談員が高齢であろうが、旧来の公的な結婚相談所であろうが、AIだろうが、どのようなツールでも駆使するでしょう。しかし、そのようにできない人に対しては、その一歩を踏み出させてあげる施策がなければ利用者は増えませんし、たとえ交流の場があったとしても、参加者が毎回同じで、お互い今回も頑張ろうねなどと愛情ではないものが育まれてしまったり、思ったとおりの結果が得られないこともあるかと思います。  補足ですが、先ほど申し上げたデータでは、AI婚活について利用してみたいと回答された方は82%であるのに対して、利用経験ありと答えた方は12%であるように、最初の一歩のハードルを下げて施策を行わなければならないと考えます。  先進事例として、香川県が導入している「縁結び・子育て美容-eki」、この事業は、理容店、美容院、ほかにネイルサロン、鍼灸院や整体院などを含んでいるようですけれども、そのようなものを導入することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  また、婚活支援においては、温かなアプローチを広げていかなくてはならず、その土台となる社会全体で結婚を希望する男女を応援していく機運づくりが必要と考えます。本県においては、来年度様々な事業を実施していく内容が見られますが、どのように多くの方々を巻き込んでいくのでしょうか。ここまで2点、こども若者局長にお伺いいたします。
     少し掘り下げた質問をいたします。妊活検診、不妊検査、その費用の助成事業についてお伺いいたします。  この検診を希望する夫婦は、そもそも夫婦間において子供を持つ、持たないという選択肢を含めた話合いが行われていると考えます。逆に言えば、夫婦間での話合いというものがなければこの検診を受けることにはなりません。私自身も精子の検査キットを渡されましたが、なかなか踏み切ることができず、あなたはやる気がないと妻に言われ、険悪になった時期も確かにありました。性質上こういったものを開けっ広げに言うことではないのかもしれませんが、この事業は夫婦での話合いにつながることを期待しているのですが、目的はどのようでありますでしょうか。こちらは健康福祉部長にお伺いいたします。  最後に、唐突感が物すごくありますが、新設条例のスタートに対して認識の違いがあってはその前途に影を落とす可能性も含むため、確認の意味も込めましてお伺いいたします。犯罪被害者等支援条例案についてです。  今回示された内容に対して、私どもの会派に、総合支援窓口の設置について条例の基本的施策に項目を立てて規定してほしいといった御意見が届きました。同様の内容はパブリックコメントでもあったようですけれども、今回の県民文化部長の議案説明の要旨には、犯罪被害者等総合支援窓口を設置するといった内容が確認できる一方で、知事の提案説明においては総合支援窓口の記載がありません。明記はありませんが、知事の提案説明の中にあった関係機関・団体等との連携による切れ目のない相談支援体制の構築といった発言は、総合支援窓口の設置を含んだ施策内容であるのか、知事に確認をさせていただきます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には5点御質問を頂戴しております。  まず、温泉の関係でございます。「チーム新・湯治」の取組についての御質問でございます。  環境省では、温泉入浴に加えまして、周辺の歴史、文化、自然、食などを生かした多様なプログラムを楽しみ、地域の人や他の訪問者と触れ合い、心身ともに健康となることを目的とした「新・湯治」という考え方を平成30年度より提唱しております。  この趣旨に賛同した自治体、団体、企業等を「チーム新・湯治」とし、取組を環境省ホームページへ掲載するとともに、環境省主催のセミナーの開催や全国温泉サミットへの参加を通じたネットワーク化等に取り組んでおります。  また、環境省では、温泉地全体で得られる療養効果を把握するため、平成30年度から令和2年度まで全国「新・湯治」効果測定調査を実施いたしました。調査の結果といたしましては、温泉地滞在後は心身によい変化が得られた。温泉に浸るだけではなく、軽い運動や周辺観光等を行うことでよりよい心身への変化が得られた。温泉地滞在期間が日帰り等短期であっても、年間に複数回温泉地を訪れることで心身へのよい影響があったなどとする概要を公表しており、今後この結果を全国的に発信し、「新・湯治」の効果の普及を図るとしているところでございます。  続いて、温泉の効能についての御質問でございます。  温泉法の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準によりまして泉質に応じて適応症が定められており、温泉分析書を基に、禁忌症、入浴または飲用上の注意などとともに掲示すべき内容として保健所長が決定しているところでございます。  こうした温泉の効能につきましては、利用施設の脱衣所などに掲示され、入浴者に周知されておりますが、観光のPRの一環として表示されている事例もございまして、例えば、長野県温泉協会などのホームページにおいては、温泉を効能で検索できるよう設定されており、目的に合った温泉地を探すための要素として活用されているところでございます。  次に、キッチンカーについての御質問でございます。  まず、営業許可についてでございますが、食品衛生法に基づく営業許可のうち飲食等に係る移動営業車、いわゆるキッチンカーの本県における営業許可件数は、平成29年度末632件、30年度末661件、令和元年度末727件、2年度末826件、3年度1月末現在で905件と増加傾向を示しております。  次に、衛生ルールの条件についての御質問でございますが、許可を受けるに当たっての衛生管理の基準及び施設移動の基準につきましては、食品衛生法に基づき県の条例により基準を定めております。平成30年6月に食品衛生法が改正されまして、都道府県等による運用の平準化を図るため、新たに厚生労働省令に基準が定められております。本県もそれに基づいて必要な条例改正を行い、令和3年6月から施行しております。  県内の各保健所では、従前から共通した基準を用いて運用してきたところでございまして、中核市である長野市及び松本市の保健所とも情報共有を図り、足並みをそろえて運用しているところでございます。このため、県内では、保健所ごとにルールが異なる、いわゆる御当地規制はないものと考えております。  最後に、婚活・子育て支援についての御質問でございます。  私どもには、妊活検診(不妊検査)費用助成事業について御質問がございました。妊活検診(不妊検査)費用助成事業は、夫婦がそろって受ける不妊検査に対し上限2万5,000円まで費用を助成するもので、夫婦が健康状態を知るための検診を受け、必要な場合に早期の不妊治療に結びつけることを目的としております。  一方で、長野県不妊・不育専門相談センターに寄せられる相談には、夫婦ともに子供を望んでいるにもかかわらず、検査や治療は妻の問題だからと、夫の理解、協力が得られないという訴えもございます。夫婦がそろって受ける検査に対して助成を行うことで、男性の行動を促す効果も期待しているところでございます。  議員御指摘のとおり、この検診を受けるに当たりましては、将来の人生設計について夫婦が前向きに話し合うことが求められるため、妊娠前から男性の積極的な関わりを促すとともに、その後の妊娠から子育てを夫婦が協力して行っていく姿勢にもつながるものと考えております。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には2点のお尋ねをいただいております。  まず、温泉地Re・デザイン事業の成果及び今後の展開についてでございます。  この事業では、温泉を活用した健康づくりなどテーマ別の講演会やフィールドワーク等を実施したほか、令和元年度には公募によるモデル事業を行ったところでございます。講演会やフィールドワークには、県内の観光関係者延べ194人が参加、また、モデル事業では飲食店等との連携による泊食分離や地域食材を生かしたメニュー開発などの事例を創出し、事業の参加者やホームページ等で情報提供をしているところでございます。今後も、こうした事例の普及に取り組むとともに、具体的な取組を模索する地域に対しましては県観光機構エリアプロデュース部と連携して支援してまいります。  次に、ONSEN・ガストロノミーツーリズムの取組状況と今後の展開についてでございます。  温泉地を拠点にして、食、自然、歴史などの地域資源をウオーキングにより体感することを活動のコンセプトとしたONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構に現在県は参加しておりまして、県内では5市町村が参加しております。  これまで、同機構と連携した令和元年のイベントについては、旅行商品化をしながら駒ヶ根市、宮田村で開催し、全国から550名に参加いただきました。その後、コロナ禍等で開催が見合わされておりましたが、昨年の10月には山ノ内町湯田中渋温泉郷で開催し、県内から118名の方に参加をいただきました。  このように、温泉や食文化、自然などを生かした体験イベントは重要な観光コンテンツにもなることから、引き続き市町村に対して情報発信などを行い、地域の主体的な取組を支援してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、温泉に関連して、温泉に対する考え方と今後の観光振興の方向性という御質問であります。  本県は、温泉地の数が全国2位、温泉を利用した公衆浴場数が全国1位、また、泉質、効能に優れた名湯、秘湯が数多く存在しているわけでありまして、本県にとって温泉は大変重要な観光資源だというふうに考えています。  これまでも、観光機構においては、物味湯産手形の販売や温泉地Re・デザイン事業の実施、また、公式観光サイト「Go Nagano」における特集コーナーを設けての発信など温泉を生かした誘客を進めてきているところであります。来年度は、信州観光復興元年という位置づけで取り組んでまいりますので、この中でも県内の温泉地を積極的にPRしていきたいというふうに考えております。  また、温泉の魅力は、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針として掲げておりますゆっくり過ごす、癒やしを求める、こうした観光ニーズとも一致しているわけでありますので、ワーケーション、テレワークへの活用や、伝統文化、郷土食などとの組合せによって、長期滞在型の観光を推進するための重要な資源として最大限生かしていきたいというふうに思っております。  私も温泉は大好きでありますので、県内外から多くの皆様方に長野県の温泉にお越しいただけるような環境づくり、そして発信に今後ともしっかり努めていきたいというふうに思っております。  それから、犯罪被害者等支援条例に関連して、総合支援窓口の設置を行うのかという御質問でございます。  条例案、施策の取りまとめは、被害者の御遺族の方からもお話を伺って取りまとめを行いました。提案説明で切れ目ない相談支援体制を構築するというふうに申し上げた趣旨は、御質問にありますように、犯罪被害者等総合支援窓口を設置するという考え方に立つものであります。県民に身近な支援を行う市町村をはじめ、関係機関・団体等が連携協力するための総合的な支援体制の整備に取り組みますとともに、社会福祉等の資格を有する職員を兼務配置するなどして犯罪被害者等からの相談に適切に対応できるようにしていきたいというふうに考えております。  条例案をお認めいただければ、施行と同時に窓口を設置したいというふうに考えております。関係機関等の連携協力の下、犯罪被害者の皆様方等が一日も早く被害から回復し、平穏な生活を営んでいただくことができるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔産業労働部営業局長金井伸樹君登壇〕 ◎産業労働部営業局長(金井伸樹 君)私には、キッチンカーの活用に関しまして、販売機会マッチングNAGANOの運用状況についてのお尋ねでございます。  このサイトでございますが、コロナ禍により厳しい状況にある事業者の皆様の経営の多角化を後押しするために行いましたキッチンカーの導入等の支援に加えまして、その活用を促進するため昨年4月に開設したものでございます。現在216の出店事業者の皆様に御登録いただいておりまして、そのうちキッチンカーで営業を行う事業者は34者となっております。また、販売スペースの提供などができる受入れ事業者は52者で御登録いただいております。  これまでに、ショッピングセンターやバッティングセンターの空きスペース9か所、スポーツ大会やマルシェなどのイベント情報を15か所掲載いたしましてマッチング支援を行ってまいりました。今後も、サイトへの掲載情報の充実に努めまして、引き続き県内事業者の皆様の販売機会の確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)災害時におけるキッチンカーの派遣調整の取組状況について御質問をいただきました。  避難所における温かい食事の提供は、避難者の健康確保のため重要な課題であり、調理設備を備えたキッチンカーによる食の支援は、作りたての温かい食事を提供できる有効な手段であると考えております。一部の市町村ではキッチンカー事業者と災害時応援協定を結ぶ動きがございますが、全県的には取組が少ないため、県では、長野県災害時支援ネットワークと連携し、災害時、円滑に温かい食事が提供できる仕組みづくりを検討しているところであります。  今年度は、キッチンカー事業者を対象とした研修交流会を開催しました。この中で、円滑な実施のためには、キッチンカーをコーディネートする者や事業者のグループづくりが必要などの意見が交わされ、実施に向けた課題の共有が図られました。また、駒ヶ根市で開催しました県総合防災訓練では、地元の事業者にも参加いただき、温かいスープを提供いただくなど、初めてキッチンカーと連携した訓練を実施したところでございます。今後も、事業者、市町村、NPO団体等と連携し、課題の解決に取り組み、災害時に温かい食事を提供できる仕組みづくりを推進してまいります。  次に、キッチンカーの営業許可申請の際に協力を依頼することについての御質問でございます。  災害時、キッチンカーによる温かい食事の提供を実現するためには、事業者の皆さんにいかにして関心を持ってもらい、仕組みづくりに参加していただけるかが課題であると考えております。より多くの事業者に御協力いただける方策につきましては、引き続き関係部局等と連携し、対応を検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、婚活・子育て支援について2問御質問いただきました。  まず、人の紹介による婚活事業「縁結び・子育て美容-eki」等のような婚活支援事業の導入について御質問いただきました。  県では、AIマッチングにより相性のよいお相手を紹介する新たな結婚マッチングシステムを本年1月から稼働しており、これにより結婚を希望する多くの方にこれまでにない出会いの機会を提供できるものと考えております。  こうした新たな技術を活用した支援の一方で、やはり身近な地域や職場の信頼のおける方が出会いの機会を提供する、いわゆる世話焼き人の存在も大切であると考えております。本県には、ボランティアで出会いの仲介などを行う婚活サポーターが1,000人以上おられ、それぞれ地域や職場の世話焼き人として、顔の見える信頼感を生かして、結婚を希望する方に寄り添った支援をいただいているところでございます。県では、今後も引き続きサポーターの方々の活動を後押ししてまいります。  例として挙げられた香川県の「縁結び・子育て美容-eki」事業でございますが、美容院という地域の身近な資源を活用し、結婚支援や子育て支援の情報提供や地域の相談窓口へのつなぎを行う有効な取組であると我々も承知をしております。こうした他県の取組や議員から御提案いただいた内容も参考にさせていただきながら、今後も人のつながりを生かして結婚を望む方の希望実現を応援する施策、そして、始めの第一歩の背中を押す施策について引き続き検討していきたいと考えております。  次に、社会全体を巻き込んだ機運づくりについてでございます。  結婚を望む方の希望を後押しするためには、多くの方に結婚を祝福され、社会全体で応援されていると実感できる機運づくりが大切であると考えております。県では、来年度、地域や業種を超えた出会いや交流の場の創出に取り組むこととしておりますが、その際には、市町村、経済団体や企業の皆様、各地で婚活イベントなどを開催する団体として県内に200以上御登録いただいております婚活応援団の方々にも御協力をお願いしながら社会全体で連携して進めてまいりたいと考えております。  また、来年度から、新婚夫婦や結婚予定のカップルが店舗や施設で割引や特典が受けられる結婚パスポート事業も創設する予定でございます。県内の多くの事業者の皆様に協賛店として結婚支援に関わっていただけるよう御協力をお願いさせていただくこととしております。これらの取組を通じまして、市町村や地域、企業とも連携しながら、社会全体で結婚を希望する方を応援する機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔10番花岡賢一君登壇〕 ◆10番(花岡賢一 君)犯罪被害者等支援条例案についてですが、私たち会派のメンバーも、恐らく議員の皆様も、お話を聞く機会はあったと思いますけれども、要望していても明記されていないと、行政は何もやってくれないじゃないかと、スタートとしてはあまりよいことがないのかなというふうに思いましたので、今回お伺いさせていただきました。お答えいただきましてありがとうございます。  AIの活用が進めば進むほど便利となる一方で、人間の存在価値については考えさせられるものがあります。今回、運命の赤い糸を可視化すると表現しましたが、先ほど引用しましたが、おせっかいについても可視化することができる時代がすぐ近くに迫ってきています。それは、デジタル地域通貨を通じて、以前取り上げたふるさと納税のように人間の温かみを集積できること、そのようなツールの開発は既に始まっています。  第4次産業革命と言われるものに際し、よりよい県民生活が営まれ、生活が向上していくことを強く願い、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。         午後0時2分休憩          ──────────────────         午後1時10分開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  両角友成議員。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)日本共産党県議団の両角友成です。質問に先立ち、ロシアによるウクライナ侵略を断固糾弾し、軍事作戦を直ちに中止することを求めます。  それでは、質問に入ります。  まず初めの質問事項は、農業問題、米政策についてであります。長野県として新型コロナウイルス感染症拡大などによる米価下落にどんな対策を講じてきたのか、講じようとしているのか、伺ってまいります。  本年1月14日臨時議会での我が会派和田議員の質問に対しての答弁を聞いていると、米が国内で余れば外国に輸出と簡単に言われるが、家族農業、兼業農家などでは現実味がありません。また、県は、生産コスト削減と高品質で差別化を図り、販路を開拓していこうとしているようですが、米1俵、60キロ当たり生産コストは平均1万5,000円です。しかし、2021年度産は1俵1万円を下回る銘柄が続出しています。農家の努力、機械化、あるいはスマート農業への転換などを図ったとしても、コスト削減で乗り切れる価格の状況ではなく、しかも米作りの中核をなす大規模経営ほど打撃を受けています。長野県議会として、昨年11月定例会にて全会一致で国に求めたように政府備蓄米の買入れ数量の拡充を国に求めていただきたいが、いかがか。  また、伊那市では、米農家に対して、水稲作付面積10アール当たり4,500円を支給することを今年1月に決めました。県内、他の自治体にも動きがあります。山形県では10アール当たり1,000円を支給します。長野県でも、市町村と連携し、直接支援策を講ずるべきと思うが、どうか。農政部長に伺います。  次に、ずっと国の転作政策に協力してきた農家が、今後5年間で一度も米を作付しないと水田活用の直接支払交付金の対象から外すとする見直しの動きがあります。この交付金は、麦、大豆、多年生牧草は10アール当たり3万5,000円、ソバ、ナタネは2万円ですが、5年間作付しない場合、これが全てなくなる。長年政府の方針に従って転作に協力してきた農家を交付金の対象から排除し、経営の継続さえ危うくするようなもので、重大な裏切りです。あまりにもひどい見直しです。農家の立場に立ち、撤回を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。農政部長に伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には米政策について3点御質問をいただきました。  初めに、政府備蓄米の数量の拡充を国に求めることについてでございますが、コロナ禍により米の需要が減少を続ける中、県では、令和2年11月と昨年6月3日に、国に対し、予測し得なかった事象により発生した在庫について国の責任において市場隔離対策を講じるよう要請したところです。今後も需要動向を注視するとともに、コロナ禍など不測の事態により需要が落ち込む状況が継続する場合には、必要に応じて改めて国に要請してまいります。  続きまして、米農家への直接支援についてでございます。  米農家の経営安定を図るためには、主食用米の適正生産による需給調整に取り組むことが重要と考えており、国の事業等を最大限活用しながら、需要の見込める麦、大豆などや園芸作物など収益性の高い品目の導入、拡大を進めているところです。  さらに、今議会においてお願いしております令和4年度予算において、県単独事業により飼料用米への転換や、海外の需要を取り込むため、輸出用米の取組の強化などを支援してまいりたいと考えております。  県といたしましては、今後も、これらの取組などにより、稲作農家の体質強化と経営の安定を図ってまいります。  最後に、水田活用交付金の見直しについてでございます。  今回の見直しについては、現在国において、今後5年の間に一度も水稲の作付が行われない農地は交付金の対象としないとする方針が示されております。一方、その見直しに当たっては、今後現場の課題を検証することとされており、国は、毎年度交付対象水田の除外状況など各地域の課題把握のための調査を予定しているところです。県としましては、引き続き国の動向を注視するとともに、今後生産者の声も十分にお聞きし、生産現場の実態に合った制度となるよう必要に応じて国に要望してまいります。  以上でございます。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)知事に伺います。  昨年11月26日、長野県町村会の皆さんが上京し、国会議員に要請。その中で、北安曇郡松川村平林明人村長いわく、日本国内は米が余っているけれども、足りない国がいっぱいある。そんなときに日本が無理にミニマムアクセス米77万トンを輸入しないで、足りないところに回してほしい。村民のためになれば何でも言うべきだとの思いからの発言だそうです。  続けて、松川村民の方からです。  令和に入ってから新規就農しました。穀類を主とした経営をしていますが、輸入されてくる穀類の存在が日本の農業に大きなダメージを与え続けている現状が見えていて、将来の経営が不安です。村は努力している姿勢があると感じているが、国はどうなんだろうか。国は米が駄目なら他の作物があるといい、米プラス他の作物を推奨するが、農家には様々な事情がある。兼業農家が多く、米プラス他の作物と言われてもできない。米作りをやめてしまえば離農が増えてしまう。こうして荒廃農地が増え、美しい景観が壊されてしまう。持続可能で時代に求められる農業に取り組む農家を増やしてほしい。  一部ですが、村長の、農家の訴えです。  ミニマムアクセス米を毎年1トン当たり10万円でアメリカから買い、この米を2万円で飼料用に販売、外米処理に毎年300億円の国費を使っている。本来、米は穀物の中でも自給が基本の作物です。  この際、ミニマムアクセス米の輸入削減、廃止と米農家救済のために米の直接支払交付金を復活させることも国に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
     次に、地球規模での環境破壊に加え、世界情勢が悪化しており、輸入が止まれば食料危機になることが現実味を帯びています。食料自給率が37%しかない現実もあります。米価下落により米農家の離農が進めば、農村が崩壊し、社会全体に大きな影響を及ぼすことが心配です。  今年1月15日、トンガ沖で海底火山が噴火。噴火の影響による寒冷化も危惧されます。影響は限定的との報道がありますが、1993年フィリピンの火山噴火に伴う記録的な冷夏によりタイ米を緊急輸入したりと、私たちは平成の米騒動を経験しています。備えは必要だと考えます。これら米を取り巻く諸問題について知事の思いを伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)米政策に関連して何点か御質問をいただきました。  まずは、ミニマムアクセス米の輸入削減、廃止についてという御質問であります。  ミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉においてWTO全加盟国の合意の下で設定された国際ルールであります。一定量を無関税で受け入れ、それ以上の輸入は高関税にするということで、国産米への影響を最小限にしているものというふうに考えています。そのため、輸入等の削減を求めるという考え方はございません。  次に、米の直接支払交付金についてでございますが、これは行政主導の生産調整の枠組みの中で運用され、協力した農業者に対して支援が行われていたところでありますが、その後、平成30年の米政策の改革によりまして、生産者自らが需要に応じた生産を行う制度へと見直され、農家の収入減少に対しては収入保険などのセーフティーネットが措置されたものというふうに受け止めています。  現在の米政策では、他品目への転換など需要に応じた生産を支援する制度となっておりますことから、引き続き現行制度を活用して農業者の経営安定を図っていきたいと考えています。  続きまして、米を取り巻く諸問題への思いという御質問でございます。  私は今朝お米を食べてまいりましたけれども、我が国の主食でありますので、安定供給の確保ということは非常に重要でありますし、また、水田を中心として、美しい農村景観の形成や水源の涵養、さらには国土の保全、そして農村コミュニティーの維持などにも大きな役割を果たしている重要な品目だというふうに考えています。  少子高齢化の中で、食生活も多様化し、米を取り巻く環境は非常に厳しい状況になりつつあるというふうに受け止めています。そうした中で、本県としても、高収益作物等への転換やスマート農業の導入の加速化、さらには県産米の消費・販路拡大の対策、こうしたことを行うことによって、稲作農家の皆様方が希望をもって営農を継続できるように支援してきているところであります。  今後、ますます食糧安全保障の観点が重要になってくるというふうに考えております。県としては、気候変動にも対応できる品種の育成や技術支援などを進めていきたいというふうに思いますし、また、政府に対しては、不測の事態に備えた米の備蓄等、適正に運営していくよう必要に応じて要請を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)次の質問項目は、持続可能な林業をどう目指すかについてであります。  国土面積の3分の2を占め、木材供給とともに環境保全、水源の涵養、生物多様性など公共的な機能を有し、低炭素社会の実現にも欠かせない森林。長野県を見ても、県土の8割が森林です。ウッドショックに対応できる国産材の安定供給体制の確立を目指すなど、持続可能な森林づくりを進める必要があると考えています。  丸太や製材品などの林産物は、WTO(世界貿易機関)協定では自動車や電化製品と同じ鉱工業製品扱いになっていますが、多くの国が林産業育成や環境保全などのため丸太の輸出規制を行っており、実質的には自由貿易品目ではなくなっています。森林生態系や自然環境は人間の生存に関わる問題であり、林産物を市場任せにする時代ではないはずです。  信濃毎日新聞に連載されていた林材ライター上田市在住の赤堀楠雄さんの「信州カラマツを宝に」を興味深く読ませていただきました。その中で紹介されている南佐久中部森林組合の取組、個人所有林を対象に伐採後、10年間にわたる保育作業を1ヘクタール当たり21万円で請け負う取組、苗木を植えて10年生まで育てた山を所有者に返すことで「伐ったら植える」林業のサイクルを維持しようとしている事例です。植えなければカラマツ林業が途絶えてしまうから。これに取り組む森林組合の管内では、伐採跡地の7割以上で再植林が実現しているとのこと。この方法が長野県林業に定着すれば、持続可能な林業に一歩近づくと考えますが、いかがでしょうか。  次に、市町村は、森林・林業の基本になる林地台帳の整備や森林整備計画の樹立などをはじめ、2019年の森林管理経営法によって民有林の経営管理権の設定などが制度化され、地域の森林管理に責任を持って当たらなければならなくなりました。しかし、専任の職員を配置できない市町村も多く、森林・林業行政全般の研修など、林務職員の育成確保を図れるよう市町村への支援が必要と思うが、どうか。  また、森林整備の中心的な役割を担う森林組合に対しても、市町村や素材生産業、製材業などと連携を促進し、地域林業の確立のため力を果たしてもらえるよう支援すべきと思うが、どうか。以上3点について林務部長に伺います。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)3点お尋ねをいただきました。  まず、持続可能な林業の推進についてでございます。  主伐後の再造林における森林所有者の負担が課題となっている中で、議員御紹介の取組については、持続可能な林業を進める方法の一つとして有効と考えております。一方で、森林や地形等の状況から、主伐による木材の販売収入、再造林や保育に係る経費等は異なり、所有者の負担額によってはこうした取組自体が難しくなります。こうしたことから、県では、主伐と主伐後の再造林をさらに推進するため、令和2年度より再造林等に対する補助率をかさ上げし、支援しているところでございます。  また、令和4年度予算では、再造林費用の低コスト化を目指し、主伐後の造林や保育の支障となっている枝等の林地残材の利用に向けた検証を行うこととしており、こうした取組も含めて持続可能な林業を推進してまいります。  次に、林地台帳の整備等の市町村への支援についてでございます。  林地台帳及び森林整備計画は、森林法で市町村が作成及び樹立し、公表することとされています。市町村の業務を円滑に進めるため、県では林地台帳管理システムと原案データを作成し、平成30年6月に全ての市町村に配付しています。また、システム操作や運用に関する研修会を平成30年度から延べ9回開催し、支援しています。  森林整備計画につきましては、毎年制度に関する説明会や各地域振興局の林業普及指導員による計画作成の支援を行っているところです。林地台帳の整備や森林整備計画の樹立のためには専門的な技術や知識が必要なことから、今後も積極的に市町村支援を進めてまいります。  最後に、森林組合への支援についてでございます。  県内に18ある森林組合については、組合員の所有面積が民有林の66%を占め、林業就業者も全体の35%を占めるなど、地域林業の中心的な役割を担う存在と認識しております。県が定める森林組合指導方針では、森林組合の役割を森林づくりの中核的な担い手として、地域の持続可能な森林の管理、経営をコーディネートすることと位置づけ、業務のIT化や経営改善研修等の支援策を講じております。  また、令和3年4月には多様な連携手法の導入や業務執行体制の強化等を柱とする森林組合法の改正がなされ、現在、森林組合では、市町村等の関係機関との連携強化や販売力の強化、人材の育成等について中期経営計画である運動方針の策定を進めております。  今後とも森林組合の主体的な取組を促しつつ、改正法の適切な運用や運動方針に基づく関係機関との連携等により、名実ともに森林組合が地域林業の中核的な担い手としての役割を発揮できるよう県森林組合連合会と連携しながら指導、支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)知事に伺います。  林業が抱える課題の中で、植林後50年程度で伐採する短伐期一辺倒の見直しの必要があるやに思います。地域の森林資源の実態に対応し、長伐期や複層林など多様な施業方式を導入し、持続可能な林業にすることが必要と考えています。  林業は、森林の多面的機能や生態系に応じた育林や伐採などの専門的知識や技術が必要な業種でもあり、林業労働者の育成と定着が課題となっています。現場の声ですが、夢を持って山に入っても、現実の厳しさにリタイアしてしまうケースが多々見られるとのことです。  基本的技術の取得を支援する緑の雇用や緑の青年就業準備給付金事業を取り入れるなど、事業体への支援を強め、安全基準などILOの林業労働基準に即した労働条件や通年雇用、特に月給制の導入など生活条件の改善に取り組んで安心して働ける環境をつくるのは不可欠ではないかと思いますが、どう進めていくか、伺います。  先ほど紹介した連載の中に、大木に育ったカラマツ、樹齢は決して追い越せない。追随を許さぬ高樹齢の林が、天然カラマツに匹敵するプレミアムカラマツを生む可能性が書かれています。国は約50年での伐採を進めているが、近年の研究成果で、なお成長する若い森林であるとの認識が示されています。150年前後まで成長が続くと、その間、多面的機能も向上する。優秀な資源になる森林を育成することも必要と考えるが、持続可能な林業に対する知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)林業に関連して2点御質問いただきました。  まず、林業労働者の皆様方が安心して働ける環境づくりをどう進めるのかという御質問であります。  林業労働者の皆様を取り巻く環境につきましては、労働災害の発生率の高さが大きな課題となっていることに加えまして、小規模、零細で処遇や就業環境等に課題を抱える事業体が多く、就業される方が安心して働ける環境を整えていくことが重要だというふうに考えております。このため、効率的な林業経営を目指す林業事業体を中心として、安全対策の強化をはじめ、機械化やスマート化等による生産性の向上を図るとともに、退職金共済への加入促進や福利厚生に対する助成措置等によりまして就業環境の改善に取り組んできたところであります。  この結果、現行森林づくり指針の基準年であります平成21年度と比較しますと、労働災害発生件数は、平成21年に81件であったものが令和2年は48件、また、林業従事者の若返りが見られており、平成21年の49.5歳が令和2年には46.9歳、また、通年雇用や月給制の割合も増加してきているという状況であります。  今後ともこうした取組を着実に進めますとともに、さらなる安全対策の強化、また林業の生産性の向上を図ることによりまして、林業労働者の皆さんが安心して働き続けられる就業環境の整備に取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、持続可能な林業に対する見解という御質問であります。  最近の林業総合センターの研究におきましても、100年生を超えたカラマツについて、樹高の成長が依然として続いているものがあるということが報告されているところであります。樹齢が100年を超えるような天然のカラマツ材は、狂いが少なく木目が美しいなど、歳月の経過による付加価値と希少性により市場で高く評価されているところでございます。  その一方で、戦後に植林された人工林の多くは50年が経過し、柱やはりなど通常の建築用の資材として伐採、利用できる時期を迎えております。また、森林の二酸化炭素吸収量は植えてから20年前後でピークを迎え、その後徐々に低下していくことになります。こうしたことを考慮しながら計画的に木材を生産していくということも重要だというふうに考えております。  今後とも、木材の付加価値向上につながる森林づくりに加え、林業経営に適した森林においては、主伐、再造林を集中して実施し、樹種や地形に応じ多様な樹齢の森林を育成することによりまして持続的な林業経営ができる森林づくりを進めていきたいと考えております。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)それぞれ答弁をいただきました。  知事の胸にも私の胸にもSDGsのバッジがついております。誰一人取り残されることなくこの地球で幸せに暮らし続けるにはどうすればよいのかを定めた国際的な目標、SDGs、17の目標のうち、15番「陸の豊かさを守ろう」に今回の農業問題、持続可能な林業が含まれていると考えています。  長野県における里山の絶滅危惧種は私はマツタケだと思っていましたが、先頃のNHKのテレビ放送の里山を取り上げた番組の中で、里山における絶滅危惧種は人間の子供だと言われ、どきっとしました。目標15番「陸の豊かさを守ろう」は大きな課題ですが、皆で知恵を出し合い、乗り切らなければなりません。以上を申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(清水純子 君)次に、百瀬智之議員。       〔13番百瀬智之君登壇〕 ◆13番(百瀬智之 君)松本市・東筑摩郡選出の百瀬智之です。本日はいじめについてお伺いいたします。  滋賀県でのいじめ自殺事案をきっかけに、2013年、いじめ防止対策推進法が成立しました。以来、発生しているいじめの数々をまずはしっかり認知していこうと試みられ、近年のいじめ認知件数は全国で50万件から60万件、県内では1万件前後が認知されるようになってきました。それまでは陰に隠されてきたような事案もあぶり出され、それらへの対応も大分システム化されてきたとはいえ、大量に積み重なるいじめ事案を前に、どうやったらいじめを減らすことができるのか、撲滅に向けた取組はどうなっているのか、頭を抱える方は非常に多くいらっしゃいます。  そこで、今回は、この点を私なりに、以下の2点、1点目はいじめに対する未然防止プログラムの欠如、2点目は教員の多忙さと学校の不慣れに焦点を当てて質問をしてまいります。  ある教育学者によれば、いじめは、いじめる子といじめられる子の先天的な特質や個性に原因があるわけではなく、閉ざされた部分社会で起こるある種の集団現象とそこで背負わされた役割だといいます。つまり、よく言われるように、いじめというのは、加害者、被害者のみならず、クラス全体の対人関係に関わる問題なのですが、子供たちには他人との関わりを体系的に学ぶ機会というのがほぼありません。  例えば、確かにさきのいじめ防止対策推進法でも道徳心を培うことがうたわれ、2018年からの道徳の教科化にもいじめが理由として挙げられました。とても大切なことではありますが、それは、言わば大人の社会、一般社会でも通じるよう構成され、相手側にもある程度の常識が備わっていることが前提になっていますから、同年齢の同じ服を着た同じようなことを考えがちな者同士が毎日集まるという特殊な環境下で、理不尽な言動を継続的に強いられるいじめに特化して威力を発揮するものではありません。荒れ狂った強国を前に弱小国が立ち向かうべきすべはここでも準備されていないわけです。  そこで、このところ注目を集めるアルファベットでK、i、V、aのKiVa、フィンランド語で楽しい、心地よいという意味合いのあるKiVaプログラムを引き合いにしますと、この学校プログラムでは、例えば、サングラスに長髪の少年が別の少年に嫌がらせをしている。級友の1人はいじめられている子に味方しようとしているが、ほかの子供たちは遠くのほうで、またいじめが始まったよと見ているだけ。さあ、君はどうする。そのまま立ち去るのか、それともいじめられている子に話しかけるか、それとも。こんな場面がネットで展開され、プログラムは、月に1回90分間、年10回行う授業と、合間に行うパソコンのゲームで構成されています。国立大学の研究者らがいじめのメカニズムを研究したところ、加害者と被害者の関係というよりは、加害者が周囲に自らの力を誇示するために繰り返しいじめをするケースが多いことから、このプログラムは、傍観者をなくすこと、すなわち教室全体の問題と捉えて、授業でもいじめが起きた際にどう行動したらよいかを学ぶロールプレイングをクラス全員がして、いじめられている子に声をかけることや味方になることの大切さを重ねて学習します。  欧米のみならず、近年日本の自治体でも導入が進んでいるこのプログラムでは、ほかに校長や教師、スクールソーシャルワーカーなどの教職員3人以上で構成するKiVaチームが常設され、いじめへの対応に当たります。休み時間には、当番の教員が緑色のベストを着用するよう推奨され、どの先生に相談をすればいいか生徒に一目で分かるようにする仕組みがつくられています。これを日本の教育現場で実現していくとなると、必然的に教員の負担軽減が求められ、したがって、いじめを取り巻く二つ目の問題点として、教員の多忙さと学校側の不慣れが問題になってきます。  ときにちょうど1年前、14歳の女子中学生が壮絶ないじめを受けた挙げ句に公園で凍死していたというとんでもない事件が旭川市でありました。このとんでもない事件は、その後の学校側のとんでもない対応ぶりと相まって、今なお時折報道されることとなっています。  しかし、長野県でも、ここ数年は毎年1万件前後のいじめ認知件数があって、いわゆるいじめ重大事態も毎年認知されていますから、これをもって必ずしもとんでもない事件とは言い切れない状況にあり、また、いかに法律が変わって事件を担任だけが抱える状態が改善されたとはいっても、ふだんは穏やかで平和と思われる片田舎で突如としていじめ重大事態が明るみに出た場合に、では推進法のおかげで事なかれ主義を排撃できるようなパワーが学校側に培われたかといえば、クエスチョンマークは拭えません。生徒一人一人に向き合う時間が足りない教員の多忙さやこうした問題への学校の不慣れに鑑みると、旭川の事件をもってこれまたとんでもない対応ぶりだと断じきれないもどかしさを感じます。  そこで、教員におかれては、いじめの予防と対応の各場面で適切な指導を実践できるよう引き続き共通認識の構築に努めていただき、学校におかれては、いじめは必ず発生するとの前提の下に、常にフェアでオープンな対応を取っていただき、また、政府自治体におかれては、教員が生徒児童と向き合える時間を確保し、どの学校もいじめ事案に毅然と対応できるルールづくりをしていただきたい、そのような要望をするものでありまして、それらに鑑み、以下具体的にお尋ねしてまいります。  まず、未然防止については、先ほど申し上げたように、人権教育や道徳教育のほか、今ある各種団体や弁護士などによる出前講座では、一部の児童生徒たちに限定的な記憶を残すことしかできず、いざというときの積極的な対応を引き出せません。県としては、いじめの未然防止にどのように取り組んでいて何に課題を感じているのか、そして、KiVaプログラムそのままとは言わないまでも、より実証的研究と専門的知識に基づいたいじめ防止に特化した具体的なプログラムを導入していくべきではないか、教育長にお尋ねします。  先般の文部科学省の調査によると、公立小中学校などで教員が不足していることが明らかとなり、今年度当初に配置された公立校の教員数は、各教育委員会の予定に比べ2,558人不足していたとのことです。教員の多忙が問題になるときに、マンパワーの不足は大きな課題となりかねませんが、本県で教員不足は生じているのでしょうか。  また、新年度予算においては、教員をサポートするスタッフの事業費、スクールカウンセラー事業費、スクールソーシャルワーカー活用事業費がいずれも増額され、周辺業務などはぜひこうした方々に委ねていっていただきたいと思う一方で、文部科学省が後押しするスクールロイヤーの活用はどのようになっているでしょうか。  2020年度から都道府県教育委員会の弁護士などへの法務相談経費について普通交付税措置が講じられ、自治体での導入はここ一、二年で急速に進み、いじめ事案についても一定の効果を上げていると聞いております。スクールロイヤーの導入状況についてお尋ねいたします。  さらに、一たび認知されたいじめに関しては、その8割は解消済みとして報告されています。では、解消に向けて取組中とされている残りの約1割から2割はどのように追跡調査がされ、県へ報告されているのでしょうか。これは、いじめ重大事態についても解消状況がどのようになっているかをお示しいただきます。  そして、いじめ重大事態が公立の小中学校で発生した場合県としてはどのような関わり方をすることになるのか、改めて御説明いただいた上で、数多くの郡部を抱える長野県ですから、小規模校でも、万が一の重大事態に備えて、他校のそれはなぜ起こり、どのような経過を経て、学校側としてどのような対応を取ることが適切だったのかということについてできる限り共有し、検証できる仕組みづくりが重要と考えます。そこで、重大事態の発生に備えていかなる計らいをしているのか、以上全てにつき教育長の見解を求めます。  最後に、知事に伺います。  近年1万件前後が認知されているいじめ件数は、あくまで認知件数であって、発生件数ではありません。よって、現実にはもっと多くのいじめが県内で日々発生していることになります。一般社会では暴行罪、傷害罪、窃盗罪に該当し得るものから、冷やかしやからかいの部類まで、前者についてはもちろん論外でありますが、冷やかしやからかいであっても、それらがエスカレートしていく可能性はありますし、たとえ解消済み事案として報告されていても、それらが長期にわたって被害者の心にしこりを残すことは間違いありません。  2020年9月に発表されたユニセフ・イノチェンティ研究所のレポートによると、日本の子供の精神的幸福度は先進国38か国中ワースト2位だったとのことで、識者たちがこの第一要因にいじめを挙げています。子供のウェルビーイングという言葉も飛び交うようになった今、長野県では誰一人取り残さない公正な社会づくりという理念を学校現場と幼児教育の現場にも重点的に落とし込んでいただきたいと思いますし、特に幼児教育については、本日申し上げた人間関係、対人関係の構築や自己肯定感の醸成に決定的に重要な時期であります。改めて、これからの長野県教育は、幼児教育に殊さら特色をつけていくことが必要ではないか。新年度以降に重点を置く幼児教育政策と幼児教育への思いを知事にお伺いして、今回の一切の質問といたします。ありがとうございました。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)いじめの防止についてのお尋ねでございます。  まず、いじめの未然防止の取組とその課題についてでございますが、県教育委員会では、平成26年に策定したいじめ防止のための基本的な方針に基づきまして未然防止の取組を実施しているところでございます。具体的には、教員を対象に、いじめの定義や適切な対処方法、子供の人権等についての研修を実施するほか、いじめで苦しんだりいじめでお子さんを亡くした方や弁護士を講師として学校に派遣する、また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、いじめ・不登校相談員の配置やLINE相談などの相談支援体制の充実などに取り組んでいるところでございます。  現在の課題としましては、インターネットの普及によりまして、ネット上の誹謗中傷やオンラインゲームのトラブルが学校に持ち込まれるなど、表面化しにくい新たないじめが発生していることでありますとか、コロナ禍によりまして子供たちが対面でやり取りする機会が減少し、子供同士の関係が築きにくく、トラブルが生じやすい状況になっていることなどが課題であるというふうに認識しているところでございます。  いじめ未然防止のためのプログラムの導入についてでございます。  議員御紹介のKiVaプログラム等につきまして、例えば世田谷区では、KiVaをはじめとしたいじめ防止に関する先進的な取組を参考としまして、独自に開発したプログラムを取り入れた授業を行っているというふうに承知しております。こうした取組事例について情報収集し、本県のいじめの未然防止の取組に活用できるか研究してまいりたいというふうに考えております。  次に、本県の教員不足の状況についてというお尋ねでございます。  文科省が実施しています教師不足に関する実態調査では、本県の昨年の5月1日時点の教師不足数は、小学校で2人、中学校で1人、特別支援学校で4人となっております。内訳は、小学校の2人が本務者の療養休暇の代替、中学校の1人が少人数学習集団編成を行うための教員、そして特別支援学校の4人が本務者の育児休業等の代替の教員であります。なお、高等学校では教員不足は生じていない状況でございます。  次に、スクールロイヤーの導入状況についてでございます。  県教育委員会では、県が選任している契約弁護士に法律相談を実施できるようになっているところでございます。また、市町村教育委員会では、学校からの相談に応じる専任のスクールロイヤー制度を長野市、松本市の2市が導入している状況で、それ以外の市町村では、必要に応じて市町村が選任する契約弁護士に相談できる体制となっているところでございます。  続きまして、いじめの追跡調査と県への報告についてのお尋ねでございます。  令和2年度文部科学省における本県のいじめ認知件数は8,638件でございます。そのうち、解消済みが86.5%、取組中は13.4%となっております。いじめが解消している状態とは、いじめに係る行為が少なくとも3か月を目安にやんでいること、それから、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと、この二つの要件が満たされることが必要でございます。  お尋ねの取組中となっている案件につきましては、学校においてアンケートや面接等によりいじめの解消まで丁寧に状況を把握し、見守りを行っているところであります。その後、県立学校はいじめの解消状況について県教育委員会に報告するようになっておりますけれども、市町村立学校については県への報告は求めていない状況であります。  それから、いじめの重大事態の解消状況についてでございます。  本県において過去3年間に発生したいじめの重大事態は、平成30年度6件、令和元年度7件、令和2年度5件という状況でございます。学校がいじめ重大事態を認知した場合は、学校の設置者を通じて地方公共団体の長等に速やかに報告し、対処することとなっているところでございます。令和2年度に報告のあった5件のいじめの重大事態全てにつきましていじめの行為は解消しているものというふうに承知しております。  それから、公立小中学校のいじめ重大事態に対する県の関わり方についてでありますけれども、県教育委員会では、学校、市町村教育委員会から要請があった場合には、指導主事の派遣や助言等を行いまして市町村を支援しているところでございます。例えば、いじめの当事者への事実確認の方法や保護者への対応、調査組織の設置や調査委員の人選などの相談に対し助言をしている状況でございます。  それから、市町村教育委員会や学校がいじめ重大事態の発生時に適切な対応を行うための県の支援についてでございますけれども、いじめ重大事態の発生時には、県教育委員会は、市町村からの要請に基づきまして、学校、市町村教育委員会への支援を実施すること、それから、調査組織、外部専門家の人選の支援を行うこととなっておりまして、これについては、いじめ防止等のための基本的な方針に示しまして市町村教育委員会と共有しているところでございます。さらに、県教育委員会が設置する医師や弁護士、心理士、福祉関係者などから構成される学校支援チームによりまして支援や助言を行う仕組みの活用について学校とも共有しているところであります。  また、今年度、県のいじめ問題対策連絡協議会におきまして、これまでに県内で発生したいじめ重大事態の調査報告書の提言等を基に、市町村教育委員会でも活用可能な長野県いじめ対応マニュアルを作成いたしまして、来年度、このマニュアルを学校に周知するとともに、教職員を対象とした研修を実施する予定でございます。引き続き市町村や学校、教職員等がいじめ重大事態が発生した際に適切な対応を取ることができるよう支援してまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には幼児教育について御質問をいただきました。  幼児教育について、まず、幼児期は、私たち人間にとって生涯にわたる人格形成、また生きていく力の基礎を培う大切な時期だというふうに考えています。本県も、この幼児教育では幾つか特色ある取組を進めてきたわけでありますけれども、一つは信州やまほいくと称して豊かな自然の中で子供たちの興味や関心に基づく主体的な遊び等を通じて生きる力を伸ばしていこうというものであります。また、園種を超えた研修等を行って質の高い保育者の育成等に取り組む信州幼児教育支援センター、こうした政策を今後とも一層充実させていきたいというふうに思っています。  来年度以降の取組でありますけれども、まず、信州やまほいくについては、さらなる普及拡大を目指していきたいと思いますし、その一方で、安全対策に関する研修等によりまして質の向上も図っていきたいというふうに考えています。また、幼児教育支援センターについては、保育者のキャリアに応じた研修の充実や幼保小接続カリキュラムの実践事例の普及等によって取組を一層強化していきたいというふうに考えています。  幼児教育は、これからの時代にとって必要とされる、例えば自ら課題を発見して主体的に解決する力、また、常識にとらわれず新しい発想で適応する力、さらには、協調性や自己肯定感、こうしたことを身につけていく上で大変重要だというふうに思っています。教育委員会と知事部局で相互に連携を図りながらさらなる幼児教育の充実に向けて取り組んでいきたいと考えております。  以上です。 ○副議長(清水純子 君)次に、大畑俊隆議員。
          〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)自由民主党県議団、木曽郡選出の大畑俊隆でございます。  本日は、しあわせ信州創造プラン2.0、長野県総合5か年計画が来年度最終年度に当たることから、木曽地域の幸せに照らして質問をさせていただきます。  この計画は、学びと自治の力を最大限に発揮して確かな暮らしが営まれる美しい信州の実現を目指していくとしています。そして、社会の変化に対応した学びから、自主的に地域の課題を解決していく力、すなわち自治の力が地域に求められるもので、言い換えれば、「しあわせ木曽」の実現には、この学びと自治の力がなければ地域の向上発展は望めないものとなります。  今、木曽地域の住民が幸せを感じて将来に不安なく暮らしているのかというと、恐らくそのような状況にはないと思います。それは、2014年9月の御嶽山噴火以来、度重なる豪雨災害、コロナによる観光を中心とした地域経済の落ち込み、さらに先日の御嶽山の噴火警戒レベル2に引き上げられることによる風評被害、そして、何より、令和2年度の国勢調査の結果、長野県の中で一番人口減少率が高い地域となってしまったことで、将来への不安と疲弊はより一層強くなってきています。また、先日発表があった地元2校の高校志願者数が激減していることもしかりであります。そして、これからの木曽地域の最大なる課題は、加速的な人口減少による働き手の確保がますます厳しい地域になっていくことであります。  ただ、御嶽海の先場所の優勝と大関昇進は、木曽郡はもとより長野県民の皆様にとっても明るいニュースとなり、県におかれましても、県民栄誉賞を贈られたことに、地元の一人として感謝を申し上げます。  現状、各自治体及び関係機関の皆様は、相当の努力をもって、この厳しい環境の中、住民サービスを低下させないように努力しているところですが、学びと自治の力を発揮しながら地域の課題解決をしていくには至っておりません。地域の課題解決は、各自治体の主体性は当然求められるところでありますが、木曽郡全体の存続に向けての課題解決には地域振興局の役割が極めて重要になってくると考えます。  次期計画の中では、地域計画をさらに実行性のある計画にしていただき、それぞれの地域課題解決のため、各自治体が、県が、共に課題を共有し、協力、連携を深めながら取り組んでいくべきときと考えます。特に、王滝村、平谷村などの人口1,000人を割るような自治体は県とより密接に連携を図らなければ持続可能な地域になり得ない構造的な問題があるからであります。  そこで、今後、加速的な人口減少から生じてくる地域課題は大きく、各自治体はその課題と向き合い、様々な施策を講じていかなければなりません。しあわせ信州創造プラン2.0の地域計画を進める上で、地域活力という視点から、各地域振興局の果たす役割とは何か。さらに、地域振興局が地域の課題解決に向けて真に必要な施策に主体的に取り組める組織となるようさらに強化、充実すべきと考えますが、阿部知事の見解をお伺いいたします。  次に、人口流出に歯止めをかけ、持続可能な地域づくりを考えるとき、木曽地域についていえば、総合5か年計画における地域計画の中で示されたように、地域の重点施策としては、日本の宝である木曽の森林や林業・木工関係、教育関係機関等の集積を生かすことであるとしています。今後の木曽谷の産業づくりにおいては、木曽地域の面積の93%が森林であり、人工林が既に主伐期を迎えてきており、大きな経営資源が目の前にあります。  今こそ、先人が植林したこの人工林、また200年、300年の天然林を最大限に生かし、産業づくりをしていくことが木曽に残された最後のチャンスといっても過言ではないと私は考えております。人は職とともに移動するという先人の言葉もあるように、地域の雇用創出は極めて重要な取組であります。  脱炭素社会を見据えた森林・林業の一体的な産業づくりについて急がなければならないのは、既に大手企業は脱炭素経営を指向し、例えば、積水ハウス、住友林業においては、森林資源の循環利用を考えた木材利用の拡大に向け、ZEH、いわゆるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスといった年間の1次エネルギーの消費の収支がゼロとすることを目指した住宅の提供に市場からかなりの評価を得ているなど、ますます国内の木材需要は高まりを見せてくるものと判断するからであります。  よって、木曽郡6か町村の取組はもとより、長野県としても、地域振興局を中心とした木曽地域の林業事業体との連携強化による脱炭素経営を見据えた森林・林業の一体的な循環型産業づくりに早急に取り組むべきと考えます。また、木曽地域の森林・林業、木工の人材育成機関を通し、若者の林業への関心をさらに高め、その定着率向上に向けた取組をより一層具体的に地域振興計画に盛り込み、実効性のある計画として取り組んでいくことにより、木曽地域においてはスマート化された稼ぐ力を持った夢のある産業が構築されていくものと思います。  私の友人である南木曽町の勝野木材社長の勝野千秋氏は、現在、県の支援をいただき、木曽地域にJAS認定の製材工場建設に向けて取り組まれ、また、住宅メーカーと提携し、自社工場内にヒノキをふんだんに使用したモデルハウスを建築し、工場を含めた見学を年間3,000人以上受け入れ、その乾燥技術の高さや生産工程を分かりやすく伝えてきています。彼は、林業が再評価され、欧州のように若者があふれる職業になる環境をつくりたいと。このような熱意のある事業者の夢をかなえていくためにも、木曽郡の森林・林業に関わる民間事業者全体が新たな時代に向けたビジネスを構築し、県としても支えていくことが重要と考えます。  そこで、木曽地域については、知見豊かな人材投入による森林・林業の一体的な産業づくりや先進的な林業振興支援策を図ることにより、木曽地域の産業基盤が構築され、また若者の定着により人口減少の抑制が図られていくものと考えるが、木曽地域の産業づくりについて阿部知事の所見を伺います。  次に、しあわせ信州創造プラン2.0において、私の地域である木曽地域においてはとても重要なテーマとなっている「人をひきつける快適な県づくり」について順次質問をしてまいります。  人口減少の抑制については、移住、交流、観光、そして人材不足を補う技術革新についてが大きなテーマとなってきます。  今さら地域おこし協力隊の取組を述べるまでもありませんが、特に過疎地域からますます若者がいなくなっていく中で、2009年から制度化された地域おこし協力隊は、令和2年度で全国に延べ5,464人、長野県では延べ416人いるとされ、地域おこし協力隊の存在は、各地域にとって、そのネットワークにより、クリエーター、デザイナー、アーティスト、ウェブ関係者等々を呼び込む力ともなり、地域にとって頼もしく大きな存在になってきています。  私の木曽地域でも多くの協力隊員に各地域で貢献してもらっていますが、王滝村の地域おこし協力隊員であった若者は、人口700人余りの王滝村を存続させていきたいという強い意志から村会議員にまでなって、現在地域貢献をしています。まさにその土地の人たちと触れ合い、つながりを持ち、地域を愛し、共に村づくりに取り組んできた中での決断であり、地域からしっかり評価された結果でもあります。よって、地域おこし協力隊等の役割は今でも非常に心強いものとなっており、つながり人口創出にもまだまだ大きな役割を担っていくものと考えます。  そこで、県として、各自治体で活躍しているこの地域おこし協力隊の役割、そしてその活躍を見てきた中で、各自治体の地域活力の推進という面からどのように評価しているのか。  また、地域おこし協力隊としての任期終了後も各地域に残り、定着するための支援策について、県として各自治体とともにどのように取り組んでいくのか。また、今後の協力隊の皆さんのネットワークを生かした取組を県としてどのように広げ、移住策に生かしていくのか。以上伊藤企画振興部長にお伺いいたします。  県におけるつながり人口増加の施策展開等の効果により、本県への移住者は年々増加しており、転出超過は577人にとどまり、ここ10年間の中で最少となり、また、県内への転入者も前年から3万1,050人と過去10年で最多となりました。コロナ禍の影響による地方回帰が加速してきた要因もありますが、今までの県の施策効果が十分反映されてきた結果でもあります。  そこで、来年度の子育て世代の移住を促進していく施策において、18歳未満の子供がいる三大都市圏からの移住世帯に対する移住支援金による施策がありますが、この施策による事業効果をどのように考えているのか。また、この事業の継続性についてはどのような目標値で判断していくのか。林産業労働部長にお伺いいたします。  続いて、若者の移住について、新たにウェブメディア「SuuHaa」を通じて訴求していくとしていますが、その効果をどのように予測しているのか。また、この事業の継続性についてどのように考えているのか。  次に、コロナ禍において都市部住民の地方への関心が高まっている中、人をひきつける快適な県づくりを実現するため、移住施策をどのように進めるべきか。また、取り組む上での課題と今後の展開について伊藤企画振興部長にお伺いいたします。  続いて、観光については、主たる産業がない過疎地域等において、観光産業の裾野は広く、雇用も多く、経済波及効果も高く、重要な産業の位置づけとなっています。そこで、このコロナ禍で浮かび上がった観光の課題は、やはり国内需要喚起の重要性と地域観光資源のさらなる掘り起しと磨き上げであります。そして、この課題への取組が来るインバウンドへの誘客につながっていくものと考えます。  そこで、以下5点、渡辺観光部長にお伺いいたします。  まず、しあわせ信州創造プラン2.0における世界を魅了するしあわせな観光地域づくりについての評価及びコロナ禍で浮き彫りになった長野県観光の課題とは何か。  次に、来年度の観光部の施策体系においてアフターコロナを見据えた観光振興における長野県の強みを生かしたコンテンツづくりについて、長野県の各地の観光コンテンツを生かした取組の展開は、今後の近隣県等からの観光需要喚起事業や長野県版Go To トラベル事業を推進していくためにも重要な施策の柱であると考えるが、いかがか。  次に、地域が主役の観光地づくりには、広域的な地域の結びつけを担い、景勝地や伝統、人については、物から事へと目的を変え、さらなる掘り起しと磨き上げにより地域活力を取り戻し、住んでいる皆さんがプライドをもって観光地づくりを進め、幸せになっていく取組が重要と考えるが、地域が主役の観光地域づくりにおける県の役割についてどのように考えるのか。  次に、国内需要の喚起策については、地域自治体との一体感を持った取組を進め、例えば木曽地域についていえば、今大河ドラマで話題の木曽義仲をクローズアップさせ、中山道と北国街道を結ぶ街道文化に触れたストーリー性のある広域的観光商品の造成による観光振興の展開がまさに必要となってきます。来年度において、観光部として、四季ごとに観光スポットやアクティビティー、歴史文化など多様な魅力を発揮する観光キャンペーンの展開について準備を進めるとしていますが、それは全県を対象にした取組であるのか、また、地域のニーズを組み入れたものにしていくのか。  次に、SDGsの考えを組み入れ、密を避け、自然の中で行う植樹体験等をメニューとするみどりの学習旅行を企画提案することを林務部で考え、木曽においてもモニターツアーを実行してきていますが、今後、SDGsを含め、脱炭素、ゼロカーボン等の森林を通した学習旅行を積極的に進めていくためにどのような営業展開をしていくのか。以上5点、お伺いいたします。  観光需要の増大において、各地域の伝統文化等の継承も重要となり、その担い手確保についても地域の課題として大きなものになってきています。また、伝統文化の承継という意味では、伝統工芸品の存在も忘れてはいけません。  かつて隆盛を誇る時期もあった伝統工芸品は、大量生産が進む時代の流れの中で、価格面で市場に出回る画一的な商品に太刀打ちできないため、じり貧の状態が続いています。しかし、商品価値を認めてくれる消費者は一定数いるため、生産者への支援と併せて、求めている消費者にいかに訴求していくかが重要な視点となってきます。  令和元年、天皇陛下が御即位された際には、県、市長会及び町村会が一緒になって木曽漆器工業協同組合が丹精込めてつくった漆器の文箱を献上しています。献上品に選ばれるほどの伝統工芸技術、言い換えれば、産業文化が地域に残っていることは大変喜ばしいことですし、これからもその技術を伝え、残していかなければならないと考えます。  そこで、産業文化とも言い換えられる伝統工芸の技術を確実に次代に引き継いでいくために、県は次期総合5か年計画においてどのような展開を図っていくのか。林産業労働部長にお伺いをいたします。  最後に、政府の示したデジタル田園都市国家構想の実現は、地方の魅力をそのままに、都市に負けない利便性と可能性を持った地方創生にあります。長野県もデジタル技術の進展に適応した社会づくりの実現に取り組み、地域の課題が総合5か年計画や長野県DX戦略の推進により徐々に解決され、地域に未来が開け、地域に生きる人々が再び自信を持つことで地域活力が生まれるものとなります。  また、このようなデジタル社会への適合については、人口減少、高齢化、人手不足などの課題が顕著な過疎地域の小さな自治体でこそ意義があり、長野県DX戦略では、77市町村が参加する先端技術活用推進協議会において、県と市町村が共同でICTシステムの利用を検討することで、導入コストの削減とともに、小さな自治体の人材不足を補完、サポートする取組を行うものとしています。  そこで、長野県DX戦略は、策定から2年が経過し、総合5か年計画に合わせて来年度改定を予定していますが、小さな自治体の反応を含め、先端技術活用推進協議会の現在の取組状況に対する評価と今後の取組の方向性について伊藤企画振興部長にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には大きく3点御質問いただきました。  まず、地域活力の視点から地域計画を進める上で各地域振興局の果たす役割は何かという御質問であります。  長野県は、それぞれの地域が非常に特色ある地域ばかりでありますので、本庁の画一的な取組だけではそれぞれの地域の個性や強みがなかなか引き出しにくいというふうに考えています。私としては、地域振興局には、保健福祉事務所や建設事務所をはじめとする現地機関を中心となって取りまとめて、現地機関を全体として動かしていってもらう役割を担ってもらいたいというふうに思います。また、地域の様々な課題がありますので、そうしたものにしっかりと向き合って主体的に考えて行動していってもらいたいというふうに思います。  また、様々な取組を進める上で、市町村や地域の関係団体の皆様方の御協力が不可欠でありますので、平素から市町村、関係団体としっかり連携して地域の発展のために必要な取組を進めてもらうということが重要だというふうに考えています。  例えば、今現在新型コロナ対策は非常に重要な課題でありますが、私から各地域振興局長には、今、ワクチン接種を最重要課題と位置づけて取り組んでほしいということをお願いさせていただいています。各地域によって医療体制がそれぞれ異なっておりますし、また、この新型コロナ対策は、地域を発展させる上でも非常に重要な課題であります。  そうした中で、各地域振興局においては、市町村としっかり連携して、課題の把握、調整を行っていただいているところであります。この追加接種の本県の接種ペースは、市町村の皆様方の御努力、関係者の皆様方の御協力で上がってきている状況でありますので、引き続きワクチン接種をしっかり進めていきたいと思いますし、その他の地域課題にもしっかり向き合えるような地域振興局にしていきたいというふうに思っております。  それから、地域課題の解決に向けて真に必要な施策に主体的に取り組める組織となるよう地域振興局をさらに強化、充実すべきと考えるがどうかという御質問であります。  御質問の方向性は私もそのとおりだというふうに思います。それぞれ地域課題は違いますが、例えば、ここ最近では、南信州地域振興局にリニア活用・企画振興課というリニアにしっかり向き合えるような組織をつくらせてもらいました。また、廃棄物業務に関連しては、佐久、上伊那、松本、長野、この四つの地域振興局に集約させていただき、専門性の向上を図っているところであります。また、地域農業や中山間地域が抱える課題に迅速、的確に対応していくため、地域振興局の農政課と農業改良普及センターを統合させていただき、地域振興局に農業農村支援センターを設置させていただいております。このように状況の変化に応じてその充実に鋭意努めてきたところでございます。  地域振興局が主体的に特色ある地域づくりに取り組むことができますよう、本県の多様性といったようなものも十分に意識しながらめり張りのある組織となるよう今後とも充実強化を図っていきたいと考えております。  続きまして、木曽地域の産業づくりということで、御質問にもありましたように、木曽地域においては、森林・林業政策、そして観光政策は非常に重要なウエートを占めている産業だというふうに考えております。特に、林業については木曽地域は非常にポテンシャルが高い地域だというふうに考えておりますので、より生産性を高め、品質の確かな製品を供給していくということが重要だというふうに考えております。  県全体としては、林業事業者の経営改善の取組や、スマート化、機械化等の素材生産体制の強化や木材加工施設のJAS認証取得、さらには、木材流通事業者と木材加工事業者の連携の推進、こうしたことを進めてきておりますし、また、地域の課題に応じて、専門家の紹介等の支援も行っていきたいというふうに考えております。  木曽地域においては、木曽地域振興局が林業・木材産業の関係者による協議会を立ち上げて地域の課題を共有し、木材の高付加価値化と産業の強化に向けたロードマップを作成して、関係者が連携して取り組んでいただいているところであります。今後とも必要に応じて専門家の意見もお伺いしながら活動を進めていく考えでございます。  また、産業振興を進める上では、それを担う人材が極めて重要だというふうに考えております。木曽地域には林業大学校、上松技術専門校、木曽青峰高校があるわけでありまして、連携強化の観点から、本年度は林業大学校の学生が上松技術専門校で木材加工の技術を学ぶ、こうした取組も実施しているところであります。  私としては、この木曽地域を森林・林業、木材産業を学びたい若者が集積する場所にしていきたいというふうに考えております。こうした学校間の連携も強化する中で、これからの森林・林業を支える人材の育成に鋭意取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)しあわせ信州創造プラン2.0の「人をひきつける快適な県づくり」などに関する御質問に順次お答えいたします。  まず、地域おこし協力隊について、地域活性化の面からの評価ということですけれども、本県では、今年度334名の地域おこし協力隊員が活動しており、北海道に次いで2番目の人数となっております。隊員は、特産品の開発や観光イベントの開催、それから移住相談業務など様々な分野で活動しております。約9割が40代までの若手で、近年は女性の隊員数も増加しておりまして、多様な人材が地域活性化に貢献しております。  任期終了後、新たに農業やゲストハウス、観光体験施設などを始めるなど、地域経済の活性化に貢献していただいている方もおられますし、また、市町村の首長ですとか、先ほど御紹介いただきました議会議員、職員など地方自治に携わる方もおられ、今後も地域を支える人材として大きな力を果たしていくものと期待しております。  次に、地域おこし協力隊が定着するための取組というお尋ねです。  協力隊員が任期後も県内にとどまることは、地域の担い手確保の点で極めて重要だと考えております。このため、隊員が任期終了後も地域に居場所と役割を持って活動できるよう、ステップアップ研修を実施いたしますほか、各地域振興局に、現役、それからOB、OGの隊員や市町村職員等で構成いたしますサポートネットワークを設置いたしまして、定期的に意見交換を行いまして、隊員の活動や受入れ体制の状況について情報共有を行っているところです。  また、昨年度から1名の協力隊員を県に配置いたしまして、市町村協力隊員の活動状況や市町村、地域との関わり方をつぶさに調査いたしました。その中で、隊員が希望する仕事と地域の求めるものとにミスマッチがあること、それから、市町村のサポート体制や地域の受入れ体制が必ずしも十分でないなどの課題が見られました。  しあわせ信州創造プラン2.0におきましては、定着率の目標を75%としております。昨年度の実績では、定着率は既に超えまして85%となっておりますけれども、これを安定的なものにしていきたいと考えております。このため、来年度は、先ほどの課題に対応するため、県の隊員が実際に地域に入りまして、その地域と市町村隊員の活動を調整する取組をモデル的に行い、その成果を他の市町村にも広げていく事業を実施したいと考えております。これに加えまして、市町村職員向けの研修なども行い、今後も一人でも多くの隊員が地域に定着できるように市町村と連携して支援してまいります。  次に、地域おこし協力隊のネットワークを移住政策などに生かすということでございます。  本県で活動している地域おこし協力隊のうち約50名が、協力隊員ならではの知見や経験を生かし、市町村で移住交流に関する活動を行っております。協力隊員には、様々な経歴、交友関係をお持ちで、また、着任後も、隊員間の交流や地域活動などを通じて多様なネットワークを築いておられます。  県におきましても、移住セミナーへのゲスト出演など、移住関連事業のみならず、長野県の未来像を描く「信州これから会議」など様々な事業に協力隊員に参加いただいております。また、隊員の人脈から人を紹介してもらっている事例もございます。協力隊員の多くが若者で、大都市圏からの方が多いことから、今後もそのネットワークを大いに移住政策などに生かしていきたいと考えております。  地域課題の一つとなってきております空き家問題、来年度はこれを県内の地域とのつながりを求める都市部住民と一緒に空き家を解消する事業を行う予定としております。この事業に隊員に積極的に参加してもらうほか、県の隊員や地域振興局ごとのサポートネットワークを通じて市町村の隊員と綿密にコミュニケーションを取りながら今後の隊員の活動や定着を支援し、それがまた長野県に人を呼び込むきっかけとなる好循環を生み出すよう努めてまいります。  次に、ウェブメディア「SuuHaa」の効果と事業の継続性についてというお尋ねです。  コロナ禍の中、地方回帰の流れを追い風に、本県に人と企業を呼び込む信州回帰プロジェクトを昨年度から展開しております。内閣府の調査によりますと、東京圏在住の若者を中心に地方移住に関心が高い状況にあります。「SuuHaa」は、都市部の20代から30代の地方暮らしを漠然と思い描いている方に、本県で暮らす、働くための一歩を踏み出してもらうことを促すために、昨年3月、移住総合ウェブメディアとして開設いたしました。これまでのアクセス数は月平均1万8,000件、累計では20万件を超え、閲覧者からの移住関連資料の請求数は400件を超えるなど、当サイトが標的とする若者に一定程度移住や長野県とつながるきっかけづくりができているものと考えております。引き続き訴求力のある記事や素材を定期的に追加いたしまして、このサイトの内容の充実を図ってまいります。  次に、人をひきつける快適な県づくりの実現のための移住施策の課題と今後の展開についてというお尋ねです。  内閣府の調査では、東京圏在住で地方移住に関心のある人の約半数が仕事と収入を懸念材料に上げております。信州回帰プロジェクトでは、様々な業種の産業人材の確保はもとより、新たな暮らし方の提案として農ある暮らしを、また、テレワークによる新たな働き方の提案として、おためしナガノや信州リゾートテレワークなどの事業を実施し、仕事と暮らしをセットに取り組んできたところであります。  来年度は、この地方移住の関心が高まっている若者・子育て世代を重点ターゲットとしていく予定としております。子育て世帯への移住支援金の上乗せですとか、昨年10月に開設いたしました銀座NAGANO5階の移住交流スペースを活用いたしまして、具体的な仕事の情報を県内の企業の担当者から直接聞くことができるセミナーや相談会を開催いたします。あわせて、教育や子育て環境、まちづくりも含め、本県で暮らす働く魅力を高めるとともに、それらを「SuuHaa」を通じて積極的に発信し、人をひきつける快適な県づくりの実現に向け努めてまいります。  最後に、長野県DX戦略の推進組織であります先端技術活用推進協議会の取組の評価と今後の方向性についてというお尋ねです。  今年度、先端技術活用推進協議会におきましては、国が進めます行政手続のオンライン化や基幹系情報システムの標準化に対応する取組のほか、地域交通やキャッシュレスなどの勉強会、また意欲ある市町村が参加して共同利用の検討を行う自治体DX推進ワーキンググループや協働電子図書館ワーキンググループなどを進めてきたところであります。  自治体DX推進ワーキンググループに参加いたしました30の市町村では、来年度、AIの音声解析機能を活用して会議などの議事録を作成いたしますAI音声文字起こしのシステムを共同調達する予定としております。また、協働電子図書館ワーキンググループでの検討の結果、来年度、市長会、町村会の御協力をいただきまして、県と市町村との協働によります電子図書館を立ち上げる予定としております。  このように、県と市町村の連携した取組が着実に進んでおりまして、こうした取組が評価され、総務省やデジタル庁の事業に採択されるなど、期待された効果は発揮されているというふうに認識しております。  一方、組織体制や財政負担の関係などから、全体的にワーキンググループや勉強会への参加町村は少ない傾向にあります。その中にありましても、町村長の中には、先行自治体の取組を知って、何とかしなければならないとの意識を持つ方も出てきておりまして、県に職員向けの研修の講師派遣の依頼も来ているところであります。小規模自治体においても的確にDXに取り組めますよう、引き続き協議会の機能を最大限活用して支援してまいりたいと考えております。  以上です。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)2点御質問いただきました。  初めに、移住支援金の事業効果と目標値、事業継続性の判断についてという御質問でございます。  移住支援金は、内閣府の地方創生推進交付金を財源として、市町村と共同で令和元年度からスタートした制度であり、来年度は、1世帯最大100万円の支給額を基本に、18歳未満の子供がいる場合に子供1人当たり最大30万円の加算を行う改正を予定しております。移住希望者への支援金制度の浸透が進むにつれ、令和元年の5件から本年度は1月末で59件となるなど申請件数が増加しており、仕事と暮らしをセットにした移住促進策の効果が見られるところであります。特に、若い世代にとっては、子育てに適した地を考える時期が移住を考えるきっかけにもなることから、こうした方々に子育て加算を行うことで移住を後押ししたいと考えております。  また、当事業の目標値、継続性につきましては、現在のマッチングサイト掲載の求人数が約200件エントリーされており、可能な限りその就業につなげられるようサポートしてまいりたいと考えております。  また、内閣府が令和6年までの期間を地方の人手不足解消と東京の一極集中に向けて集中的に取り組む期間と位置づけていることから、まずはそれに合わせて重点的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、伝統工芸の技術を引き継いでいくための次期計画での展開についてというお尋ねでございます。  長い歴史と風土の中で育まれ、たゆまぬ努力と研さんによって磨き上げられた長野県の伝統的工芸品は、本県を訪れる観光客をはじめ多くの方々を魅了してきました。しかし、生活様式の変化や大量生産品の普及等により需要が減少しており、本年度の産地概況調査においても販売不振や後継者の不足を理由に事業継続が困難になりつつあるとの答えが多く、存続が危ぶまれる厳しい状況であると認識しております。  県では、これまでも、展示会等によるPRや販路開拓、若手人材の育成を支援してきたところですが、今年度は、特に、現代の生活様式に合わせた新商品の開発、県民が商品を手に取り、そのよさを知っていただくため、県内の百貨店へ常設展の設置、学校や移住者を対象としたインターンシップ事業などに注力しております。  さらに、来年度からは、イメージの刷新とさらなる価値創造を目指して伝統的工芸品産業Reブランディング支援事業を実施することとしており、新たなコンセプトによる若者をターゲットにした情報発信等により知名度の向上を図ってまいります。  次期総合5か年計画への対応については、地域の誇りである伝統的工芸品産業のたくみの技を継承し、持続的な発展をしていけるよう支援策の検討を重ねてまいります。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には大きく5点の御質問をいただいております。  まず、「世界を魅了するしあわせな観光地域づくり」の評価、そして、コロナ禍で浮き彫りになった課題でございます。  重点目標である観光消費額は、2018年と2019年は目標を上回って順調に推移してまいりました。2020年には、雪不足やコロナ禍の影響を受け、7,087億円、前年の8割程度と大幅に減少した一方、緊急の観光需要喚起策により消費単価は増加いたしました。  今後は、高い消費単価を維持しつつ、消費の動機づけとなるような長期滞在型観光の推進やリピーターの獲得といった取組の一層の強化が必要と考えているところでございます。  コロナ禍での本県観光の課題でございます。  これまでも、季節や曜日による繁忙期、閑散期があることなどが指摘されており、インバウンドや学習旅行の大幅な減少に伴い、それがより顕著になってございます。これによりまして、旅行者の平日への分散や季節間の平準化が課題と認識しております。  また、感染症対策への関心の高まりや地方でゆっくり過ごすニーズの増加など、人々の行動や価値観の変化への対応も課題と捉え、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針を策定したところでございます。  次に、観光コンテンツを生かした取組の展開は需要喚起のために重要な柱と思うがいかがかという御質問でございます。  観光需要の喚起を図るためには、地域のコンテンツを生かした商品造成は重要と認識しております。このため、例えば、今年度実施したみどりと文化の感動体験ツアー創出事業では、中山道、木曽路、御嶽古道を踏破するツアー、森林セラピーやジビエなど森との共生をテーマにした、Go Green プロジェクト・サスティナブル体験プログラムなど、広域でのテーマやストーリーを踏まえた旅行商品造成を支援したところでございます。また、信州割SPECIALにおいても、旅行会社に地域コンテンツを組み込んだ県内を周遊する宿泊や日帰りの旅行商品を造成いただいているところでございます。
     次に、観光地域づくりにおける県の役割でございます。  世界や国内他地域との競争激化が見込まれる中、観光地域づくりにおいては、広域エリアでコンテンツのさらなる磨き上げを図ることが重要です。このため、県としては、アウトドア、ワインなど県が進める観光地域づくりの方向性に沿って意欲的に取り組む地域への支援、複数の市町村にまたがる広域的な観光地域づくりの促進、DMOの形成支援や地域DMO等が取り組む先進事例の他団体への普及などが果たす役割と考えております。今後とも、観光機構と連携し、稼げる観光地域づくりを支援してまいります。  次に、現在準備をしている観光キャンペーンは全県を対象にした取組か、また地域のニーズを組み込んだものかというお尋ねでございます。  今回のキャンペーンの実施に当たりまして、昨年の春から市町村等に観光素材、旅行商品を募集いたしました。114件の提案があり、旅行会社61社が参加したオンライン商談会で商品造成を支援したところでございます。  こうしたものも含め、信州キャンペーン実行委員会において、構成員である市町村や観光団体と意見交換をした上で、県内の移動手段の充実、花やアクティビティー、歴史文化などテーマ別コンテンツの取りまとめなど、県内各地への周遊を図るべく、全県を対象としたキャンペーン実施計画をまとめているところでございます。  最後に、森林を通した学習旅行を積極的に進めていくためにどのような営業を展開していくのかという御質問でございます。  今後の学習旅行においては、SDGsへの関心がこれまで以上に高まっていくものと認識しております。そのため、SDGsに関わる学びの体験機会を盛り込んだ学習旅行の造成支援事業を創設し、旅行会社等に働きかけをしてまいります。  また、林務部や観光機構をはじめ、市町村、地域DMO、観光関連事業者と連携し、東京・大阪等の学校、旅行会社への直接訪問による売り込み、大都市圏における商談会の開催、専用サイト「長野県学習旅行ナビ」での情報発信など、県内への学習旅行誘致を積極的に進めてまいります。  以上でございます。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)それぞれ御答弁をいただきました。  今後の木曽地域は、森林・林業の知の集積を図り、学びと自治の力により、木曽郡全体が希望に満ちた地域づくりを進め、各自治体と県が課題を共有し、実効性のある計画を策定し、共に取り組み、また地域住民自らが主体的に課題解決に取り組むことで活力ある地域を生み出していけるよう、私自身、そして地域の皆様も決してあきらめることのないよう不撓不屈で頑張る所存であります。  そして、県におかれましては、今後のDXの推進、そしてデジタル時代を見据えた新たな中山間地域の社会づくりを実現していくためにも、より一層有効な施策展開を図っていただくことを要望し、私の一切の質問を終わります。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時42分休憩          ──────────────────         午後2時58分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  宮下克彦議員。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)自由民主党県議団の宮下克彦です。  知事は、議案説明で、スポーツを通じた地域の活性化としまして、6年後に迫る信州やまなみ国スポ・全障スポを未来につながる大会にしたいとしました。観光産業の再生につきましては、アクティビティーの魅力をPRし、アウトドアの観光テーマに沿った観光地づくりをしていくとしまして、外国人観光客の受入れ環境整備や長期滞在を促す旅行商品の造成に取り組むとしましたが、まさにその方向に沿いましてこの6月に諏訪地域全体を会場にして広域的に開催予定のトライアスロン大会の名称が、スワコエイトピークスミドルトライアスロン大会でございます。この意味は、諏訪湖から八つの峰、八ヶ岳にかけての広域的な大会であるということでございます。  コースは、まず、下諏訪のローイングパーク漕艇場で2キロ泳ぎまして、岡谷側から回って、茅野、原村、富士見の県境から諏訪湖に戻る80キロを自転車で走ります。最後に諏訪湖周の20キロのマラソンを行いまして諏訪市街にゴールするという、約102キロ、8時間ほどの行程で、オリンピックや国スポで実施される約50キロのコースよりも長い、国際的にも希少価値の高いミドルコースであります。  阿部知事に名誉大会長を引き受けていただきまして、教育長や県警本部長の御理解の下、若い企業経営者等の民間の力で、現在、交通規制や警備等の最後の準備を進めているところでございます。  さて、このようなスポーツイベントの狙いは、スポーツを通じた地域振興や観光の一層の活性化、また、広域連携を強化していくこと、脱炭素、SDGsの推進も掲げまして取り組んでいくという予定であります。コロナ禍で外出に慎重になる中でマラソン大会や大規模イベントが影響を受けていますが、十分な対策を取ってスポーツ大会を行うことは、オリンピックをはじめ、人々のストレスで疲れた心に感動を呼んでいるところでございます。  令和10年の国民スポーツ大会では、トライアスロンが諏訪湖周3市町の協力の下開催されることが決定されまして、トライアスロンの拠点としてのイメージが定着していけば、海外からの事前の練習や家族を伴った長期滞在などの拠点、聖地にもなることができ、国際的なミドル大会として育み、定着していくことで、単に諏訪地域のみならず、長野県にとって貴重な大会になると考えるところでございます。  そこで、お聞きします。  まず、渡辺観光部長に伺います。  6月に諏訪地域で予定されているトライアスロン大会等のスポーツイベントがもたらす観光振興への効果をどう評価していますか。  次に、スポーツイベントを契機として、MICEやSDGs関係の企業研修など新たな広がりが期待できると思いますが、県としてどのように取り組んでいくのかを伺います。  三つ目、市町村を超えるスポーツイベントなどは広域的な観光地域づくりに生かせると思いますが、県としてどのように取り組んでいきますか。以上3点、渡辺観光部長にお聞きします。  続いて、原山教育長に、令和10年に予定されている国民スポーツ大会のトライアスロン競技の予定と、スポーツ振興による県民活力の高揚についてどう考えているか、見解をお聞きします。  次に、二つ目の項目としまして、中長期の視点から見た次期5か年計画の重点施策について伺います。  今回のコロナ禍で、東京一極集中を避けて地方分散の流れが加速しています。政府は、デジタル田園都市国家構想を掲げて、デジタルを活用して地方創生の取組を加速化、深化させるとしており、今こそ信州回帰の大きなチャンスと捉えるべきときと考えます。  知事は、議案説明で、人口減少などの中長期的課題に対しては、今までの発想にとらわれない大胆かつ戦略的な対応が必要であるとして、信州回帰プロジェクトや長野県DX戦略を一層推進するとしていますが、デジタルを活用したつながり人口の創出や拡大などの具体策が期待されるところです。  政府が目指している新しい資本主義は、物から人への投資の転換、官民連携による技術革新、そして、一極集中から地方重視への成長と分配の戦略ということです。日本経済の現状は、1人当たりのGDPランキングが大きく後退してきています。また、科学技術の遅れも明らかに表れつつあるところでございます。  技術革新につきましては、国の政策で未来をつかむTECH戦略を掲げておりまして、産業技術振興等を地域分散型で進めようとしています。TECH戦略の内容は、医療、福祉から分散型地域エネルギーシステムなど幅広い分野にわたっていますが、特に、環境に配慮した先端技術を使って産業構造や社会経済を変革するGX、グリーントランスフォーメーションなどの戦略の具体化が期待されます。こちらも、地域分散と掛け合わされることで何倍にも加速化できるものと考えます。  提案説明で、脱炭素化の動きを企業のビジネスチャンスにするため、長野県産業振興機構にグリーンイノベーションセンターを設置し、ゼロカーボン関係の新技術開発を支援するとしました。技術革新をゼロカーボンの分野に生かすGXこそ、長野県ゼロカーボン戦略を他県に先駆けて実施している本県の強みであり、特に進めるべき分野と考えます。  また、長野県の持つ大自然、自然公園などを活用して人間と近づけることも、コロナ禍で疲弊した現在の人々にとってまた一つ重要な意味を持っております。今までの自然保護活動を土台としたものからさらに一歩踏み込みまして、自然の利活用に進展する対策が今注目されていると考えます。  さて、中長期的には、国の施策を追い風としまして、長野県の位置や自然などの強み、持ち味を生かしてこの方向を加速化できる期間とするときであると考えます。  そこで、お聞きします。  伊藤企画振興部長に、地方重視の新しい資本主義における成長戦略の柱でありますデジタル田園都市国家構想を国が掲げる中で、信州回帰及びDXの取組をさらに加速化すべきと考えますが、どのように進めるか、伺います。  次に、林産業労働部長に伺います。  産業技術につきまして、GX、グリーントランスフォーメーションの新技術導入について、中小企業への支援策はいかがでしょうか。また、諏訪圏工業メッセも開催20年を超えまして、産業技術振興の拠点の一つとしての役割をどう考えるか、お聞きします。  三つ目に、猿田環境部長に伺います。  自然との共生社会の実現が必要であると考えますが、霧ヶ峰自然保護センターを活用した八ヶ岳中信高原国定公園の利用促進等の人と自然の距離を縮めるための施策、支援策はいかがでしょうか。  四つ目に、阿部知事に見解を伺います。  中長期的視点からは、県の強みを生かし、地域バランス等を考慮して、各地域の持ち味を生かして進めていくべきと考えますが、長野県の強みがどこにあり、それをどのように施策に生かしていくか、見解を伺います。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には、スワコエイトピークスミドルトライアスロン大会に関連して3点のお尋ねをいただいております。  まず、スポーツイベントの観光振興への効果についてでございます。  スポーツイベントは、地域に多くの人を呼び込む重要なコンテンツと認識しております。諏訪地域で開催される大会では、国内外から1,000名を超えるアスリート、また、その応援する家族等の滞在が見込まれております。大会期間中の宿泊、飲食などによる直接的な経済効果も大きいことに加え、大会前後に諏訪湖から八ヶ岳周辺を含めた周遊観光による波及効果も期待されるところでございます。また、地域のスポーツに対する意識の高まり、環境整備の促進など、スポーツを通じた観光地域づくりにつながっていくものと評価しております。  次に、スポーツイベントを契機とした企業研修など新たな広がりにどのように取り組んでいくかというお尋ねでございます。  スポーツイベントは、全国からの集客とともに、交流による地域への親近感や愛着が生まれるなど、開催期間以外での訪問も期待できます。今回の大会におきましても、泳ぎたくなる諏訪湖に向けた取組や、周辺地域の高原や森林などの自然環境の保全、周辺地域のテレワーク受入れ環境などを積極的にアピールすることで、SDGsに関心の高い企業、団体などを含め、研修や会議、ワーケーション等の誘致につながるものと考えます。県でも、引き続きMICEやワーケーション等の誘致に向けまして、宿泊施設の環境整備の支援、旅行会社等への滞在プランへの提案などに取り組んでまいります。  最後に、市町村を超えるスポーツイベント等を活用した広域的な観光地域づくりにどのように取り組むのかというお尋ねでございます。  複数の市町村によるスポーツイベントは、地域の一体感の醸成につながり、広域的な観光地域づくりに取り組む上でも一つの要素となり得るものと考えます。このようなスポーツイベントを生かした観光地域づくりを主体的に進めようとする場合には、観光機構による専門人材の派遣や先進事例の提供など伴走型の支援を行ってまいります。  加えて、信州の観光地魅力向上実践事業においても、地域で新しい魅力的なコンテンツを掘り起こし、広域的な観光地域づくりにつながる取組を支援してまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)国スポのトライアスロン競技の予定と県民活力の高揚についてのお尋ねでございます。  国民スポーツ大会のトライアスロン競技につきましては、今月2日に県準備委員会の常任委員会が開催されまして、岡谷市、諏訪市、下諏訪町の2市1町が共同して諏訪湖特設トライアスロン会場において実施することで内定したところでございます。  諏訪湖においては、議員御指摘のスワコエイトピークスミドルトライアスロン大会が予定されておりまして、この国スポのトライアスロン競技の実施と併せて、今後、トライアスロンの聖地となることが期待されるところでございます。  スポーツには、イベントとして経済効果があるだけでなく、県民の健康づくりや地域の活性化、そして、先般の北京オリンピックでも明らかなように、見る人に夢や感動を与えるなど様々な効果がございます。信州やまなみ国スポ・全障スポの開催基本方針でも「スポーツを通じた元気な長野県づくり」をうたっており、大会の開催によって県民の活力がより高揚するきっかけとなるよう取り組んでまいりたいと思っております。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)国がデジタル田園都市国家構想を掲げる中で、信州回帰とDXの取組の加速をどのように進めるかというお尋ねです。  まず、信州回帰の推進につきましては、コロナ禍におきまして、東京圏を中心に長野県でテレワークを行う企業が増加しております。また、地方移住に関心が高まっている中、若者を中心に、転職なき移住が、新たな働き方、暮らし方として注目されております。  こうした中、国の交付金を活用して、13市町村がキャンプ場や温泉地等の観光施設、市街地の空き家店舗等を新たなテレワーク施設として整備しておりまして、信州リゾートテレワークの受入れ施設として一層充実していくことが期待されております。  また、県におきましても、地域課題と企業のマッチングにより企業の誘致を図りますおためし立地チャレンジナガノ事業をこの交付金を活用して実施しております。来年度におきましても、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用してこの事業を進めていく予定としております。  次に、DXの推進につきましては、国に先駆けて策定いたしました長野県DX戦略に沿って全ての県民がデジタル化の恩恵を実感できるよう、県と市町村が連携して、県内の行政分野、県民生活分野、産業分野などあらゆる分野で取組を進めているところです。  国のデジタル田園都市国家構想推進交付金は、ほかの地域で既に行われている優良事例を横展開する事業、これはタイプ1といいますけれども、これが先月から募集が始まっております。また、データ連携基盤を活用して複数のサービスに取り組む事業、タイプ2、タイプ3と言われていますけれども、この募集も今後予定されております。  このように、国の様々な交付金を有効に活用しながら、また、市町村においても活用できるよう支援をしながら、信州回帰プロジェクト、DX戦略を加速していきたいと考えております。  以上です。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)産業技術について2点御質問をいただきました。  初めに、中小企業におけるGX、グリーントランスフォーメーションの支援についてでございます。  世界で広がる脱炭素化経営への転換やサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指す動きが加速する中、産業部門のシステム改革、GXは急務と考えております。  県では、本年度からゼロカーボン基金を活用して、ゼロカーボン関連技術開発支援事業補助金を創設したところであり、本年度は6社に対して総額5,000万円の支援を行っています。また、長野県産業振興機構に設置予定のグリーンイノベーションセンター(仮称)では、工業技術総合センター等との連携の下、専門コーディネーターやアドバイザーによる製品のライフサイクル全体における温室効果ガス排出量の可視化と削減計画の策定、企業のGXを後押しするための技術開発支援や産学官連携による共同開発と人材育成などに取り組む予定です。  さらに、ゼロカーボン向けの融資や設備投資の際に環境に配慮した工場を目指すニアリーZEB等を優遇する立地助成金など、経営支援なども交えながら県内企業のGXを総合的に促進してまいります。  次に、諏訪圏工業メッセの産業技術振興の拠点としての役割についてのお尋ねでございます。  諏訪圏工業メッセは、地方で開催する工業展示会としては全国でも最大規模であり、平成14年度から延べ43万人が来場、商談件数が1万4,000件となるなどの成果を上げてきており、20年を超えるお取組に対し、諏訪圏ものづくり推進機構をはじめ、地元産業界、自治体関係者の御努力に敬意を表します。  令和2年、3年はオンラインでの開催となりましたが、アクセス件数が6万5,000件に上るなど、コロナ禍にあっても国内外へ製品と技術の発信に取り組んでいただきました。  また、海外行政機関とのMOUの締結や国際産学官連携の促進、日本貿易振興機構、ジェトロの支援を受けて、海外バイヤーの招聘による販路開拓等着実な成果が出始めており、アフターコロナを見据えたフォローアップが求められているところです。  当圏域には、医療機器や航空宇宙関連など成長期待分野に取り組む企業も大変多く集積しておりますので、当メッセへの出展企業と来場企業との交流により革新的な技術や製品などを創出する共同開発へと進展する可能性も高いと考えており、県としましても、こうした取組を一層加速するよう引き続きサポートしてまいります。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)人と自然の距離を縮めるための支援策についてお答えいたします。  自然と共生する社会を構築し、美しく豊かな長野県の自然を保全してその恵みを将来の世代に引き継いでいくことが我々の責務であると認識しております。  この観点から、来年度は、霧ヶ峰自然保護センターと新設いたします御嶽山ビジターセンターにおける指定管理者制度の導入やサウンディング型市場調査の結果を踏まえた事業の構築などにより、民間ノウハウを活用した自然公園の魅力発信と自然体験活動の機会拡大に取り組んでまいります。また、今般の自然公園法の改正に合わせ、長野県立自然公園条例を改正することにより、県内全ての自然公園において地域の主体的な取組を促す仕組みを整えてまいりたいと考えております。  このほか、ガイド人材の育成、生物多様性パートナーシップ協定、登山道をはじめといたします山岳環境整備等の各種施策を通じて、適正な保護の下、人と自然が触れ合う機会の充実を図ってまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、本県の強みがどこにあり、それをどう施策に生かしていくのかという御質問であります。  長野県の強みは、幾つか重要なものがあると思いますけれども、やはり豊かな自然環境、環境と共生して発展してきた県であるということ、それから、多様な個性を持つ地域が存在しているということ、また、大都市圏からのアクセスが比較的いい地域であるということ、さらには、これまでの先人の皆様方のお取組の中で健康長寿県となり、また、ものづくり産業をはじめとする様々な産業が特色を持って発展してきているといったようなことが挙げられるというふうに思います。  こうした強みを政策に生かしていくことが重要だと私も思いますが、まず、この強み自体をしっかり維持し、発展させていかなければいけないと思います。自然環境も、放っておけばいつまでも保持されるものとは限りませんし、また、培ってきた健康長寿県としての歩みをこれからもしっかりと維持していかなければいけないというふうに思います。その上で、そうしたことを生かした発信、あるいは施策ということが重要だというふうに思っております。  今、長野県は、いろいろな調査で移住したい県として高い評価をいただいておりますので、そうしたものを生かした移住やつながり人口の増加の取組、また、多くの観光地を抱え、特に自然豊かな県として発展してきていますので、自然や景観を生かした観光、また、長野県の風土を生かした農産物の振興、こうしたことに取り組んでおりますし、また、今後さらにこうしたところには力を入れていかなければいけないというふうに考えています。  また、県内それぞれの地域が個性を持っていますので、例えば、御嶽山の噴火災害、木曽地域は非常に被害を受けたわけでありますけれども、こうした防災の教訓を後世に伝えると同時に、地域の魅力を発信するための御嶽山ビジターセンター設置にも取り組んでいますし、また、長野県として非常に重要な諏訪湖においては環境研究センターの設置を進めているところであります。  加えて、気候や土壌が特に影響するワインについては、それぞれの地域特性を生かしたワインバレー構想を進めておりますし、また、観光面でも、同じ観光といっても、例えば諏訪地域であれば御柱祭や縄文などの歴史文化を生かした観光地域づくり、また、ハクババレーにおいては山岳高原リゾートとしての強みを生かした取組、こうした県全体の個性や強みを生かすと同時に、それぞれの地域の個性や強みも発揮しながら県政全体を進めていくということが大変重要だというふうに考えております。  今後とも、県全体の施策展開ということと同時に、それぞれの地域の個性や強みという部分にもしっかりと目を向けながら、市町村とも連携協力して地域づくりを進めていきたいというふうに思っております。また、今申し上げたような観点を次期総合5か年計画の策定においても十分反映させていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)新潟県は分散型社会、脱炭素、デジタル化を社会づくりの柱に、山梨県は水素活用の産官学の拠点づくりを進めるなど、他県も地方分散やDX、GXなどの戦略を掲げて取り組んでおります。阿部知事も、先手が大切で後塵を拝さないようにと本会議の中でおっしゃられていますので、高い変革目標を掲げて、そこから逆算して今やるべきことに先手を打って、地域のバランスを取って他県の追随を許さない計画づくりをぜひよろしくお願いしたいと考えます。
     次に、諏訪湖の防災活用について伺います。  諏訪地域はフォッサマグナと中央構造線の交点でありまして、全国的に地震の確率が最も高い地域とされています。いつ災害が来てもおかしくありません。現行の諏訪湖創生ビジョンには、諏訪湖の防災活用については、水面の利活用の中で、防災船着場を整備して災害時に船で物資や人を運ぶことができるようにすることで防災機能の向上を図るとしておりまして、湖面活用に触れています。来年度、ビジョンの改定に当たりましては、この部分はさらに充実させて、水上防災拠点の整備やネットワーク化、輸送の充実等を検討する箇所と考えます。近年の気候変動の影響から激甚化が進んでいます災害に対応して、ビジョンづくりにもぜひその点を考慮してもらいたいと考えます。  諏訪湖周辺の市町村、住民からは、諏訪湖の治水安全度を向上させるために、諏訪湖周辺だけでなく、天竜川の沿川、すなわち上流から下流まで流域全体で住民の安全を確保すべきということが言われておりまして、釜口水門の放水量に係る様々な声もあります。  そこで、お聞きします。  まず、中村危機管理部長に、大地震など大規模災害時の救助においては諏訪湖の湖面の水上交通活用は有効でありまして、検討が必要と考えますが、いかがでしょうか。  次に、伊藤企画振興部長に、交通政策上からも通常時の水上交通活用を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。  田下建設部長に、諏訪湖周辺から天竜川の上流、下流までの流域全体の住民の安全を確保すべきと考えます。釜口水門の放流量に係る経過と現状、今後の見通しについて伺います。  次に、四つ目の質問項目で、独居高齢者対策についてお聞きします。  地域の住民の皆さんの声をお聞きしますと、最近家庭内では高齢者が家族となかなか口を利く機会がなく、家庭の中でも高齢者は孤独であって、地域の中で話をする場所がどこかにないものかという話をお聞きします。子供対策と高齢者福祉につきましては、誰にでも居場所のある社会、世代間の交流のある地域の中で、高齢者は、ちょうど孫の世代と一緒に話すことがウェルビーイング、幸せを感じることができるのではないかと考えます。  長野市内でボランティアで宅老所を始めた方がおります。時には幼児も訪れて、社会の中で子供を育み、高齢者をケアするようなかつての村社会が持っていた優れた点があるかと考えます。  また、例えば、福祉大学校におきましては、2年間で保育士資格を取った後、3年目に介護士の資格取得の勉強を行い、世代間の連携対策にも効果が生まれていると報告されています。この場合、保育と介護の両方を実践しながら学ぶ意義が高いと考えるものであります。  そこで、お聞きします。  まず、福田健康福祉部長に、誰一人取り残さない公正な社会づくりの中におきまして、家庭内や地域での高齢者の孤立の状況から、独居高齢者の孤独対策はいかがでしょうか。会話する場所のない在宅高齢者が会話する相手を求めて詐欺に巻き込まれるケースもあります。高齢者が会話をする居場所をどう考えるか、併せて福田健康福祉部長に伺います。  三つ目に、野中こども若者局長に、信州こどもカフェは、コロナ禍でも子供の居場所として多くの地域で機能したところでございますが、高齢者も集う交流の場として信州こどもカフェを活用できないか、伺います。  四つ目に、阿部知事に、子供と高齢者は地域社会全体で育み、ケアしていくことが幸せな信州づくりと考えますが、高齢者福祉と子供対策の連携についての御見解を伺います。  次に、河川と道路のアダプトプログラムにつきましてお聞きします。  決算特別委員会などで全県を回ってみますと、河川や道路の維持管理に地元の皆さんの協力をいただいているアダプトプログラムに課題があるのではないかという声をお聞きします。管理に協力する実施者の高齢化により参加人数にも減少傾向があり、それぞれの地域の管理団体の経費負担も増加する状況下で、事業実施につきまして工夫が必要と考えます。  そこで、田下建設部長に2点伺います。  県下の1級河川や県道管理の地元ボランティアによるアダプトプログラム里親制度の経過と実施状況はいかがでしょうか。次に、河川や道路の草刈り等を実施する地元の実施者の高齢化に伴い、参加者が減っていますが、対応策はいかがでしょうか。  最後に、流域保全総合治山事業について林務部長に伺います。  提案説明で、知事は、昨年8月、9月に大雨災害で被災した下馬沢川を含む諏訪西山地区に新年度から流域保全総合治山事業を導入し、森林整備と治山施設整備との一体的施工による災害に強い森林づくりに取り組むとしました。これは、令和4年度から9年度にわたる大型の新規の公共治山事業でありまして、全体の事業費は9億3,000万円余ということで、国費が2分の1入ってくるというふうに聞いております。  そこで、井出林務部長にお聞きします。  豪雨災害に対する総合的な治山対策として予算案に計上された流域保全総合治山事業につきまして、これまでの治山事業と異なる特徴と狙いはどこにありますか。  次に、諏訪湖スマートインターチェンジ(仮称)の上流域の防災対策はこの流域保全総合治山事業を活用してどのように進めますか。  最後に、長野県及び国全体の貴重な財産であります森林の保全につきまして、今後、同事業の県全体への事業展開の見込みについてはいかがでしょうか。井出林務部長に伺います。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)大規模災害時の救助における諏訪湖の水上交通活用についてのお尋ねでございます。  地震などの大規模災害発生時には、液状化による道路の損壊をはじめとするライフラインの被害など、多方面に影響が及ぶおそれがあります。道路の損壊等により陸上の交通が寸断された場合に負傷者等を迅速に救助するためには、ヘリコプターなどのほか、水上交通の活用も有効な手段であると考えております。  そのため、諏訪湖では、議員御指摘のとおり、将来を見据えて策定された諏訪湖創生ビジョンにおいて、レジャー面での利用に加え、災害時には、船で物資や人を運ぶことにより、防災機能の向上を図ることとしております。また、水上交通活用のためには、船着場などの整備も重要であり、下諏訪町に整備された防災船着場などの活用により大規模災害時の円滑な救助等につながるものと考えております。今後も、災害の状況に応じて諏訪湖の水上交通など様々な手段を活用し、迅速な救助や物資搬送が行われるよう関係部局や関係市町と連携して対応してまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)諏訪湖の通常時での水上交通の活用を検討すべきというお尋ねですけれども、諏訪湖畔の公共交通は、諏訪市、岡谷市、下諏訪町が共同運行いたします諏訪湖周スワンバスがありまして、JR各駅、上諏訪温泉街、諏訪赤十字病院等を結び、外回り、内回り、1日計14便が運行されております。通勤、通学、通院といった生活交通はもとより、湖周を巡ります観光客にも利用されておりまして、県では、今年度から、地域をまたがる幹線バス路線として運行欠損費に対して助成をしております。  官民連携による持続可能で最適な地域公共交通システムを構築するため、昨年11月、県内全ての交通事業者、国、県、市町村が参加いたします全県レベルの法定協議会を設立いたしました。これに合わせまして、諏訪地域をはじめ10広域圏単位の地域別部会を順次開催しておりまして、地域の移動ニーズの調査や生活圏単位での交通の在り方の議論を開始しているところです。  御指摘の通常時での諏訪湖の水上交通活用につきましては、諏訪地域の公共交通の最適化を議論する中で、地域の具体的な声があれば検討対象としてまいりたいと考えております。  以上です。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、釜口水門の放流量に関するお尋ねでございます。  釜口水門は、昭和63年の改修により、従前の水門が最大で毎秒200トンの放流能力であったのに対しまして、最大で毎秒600トンまで放流が可能となるよう改良してございます。釜口水門の実運用に係る最大放流量は、天竜川の下流の改修状況に合わせて段階的に増やしてきておりまして、現在は毎秒430トンでの運用を図っております。  このように、釜口水門からの放流量については下流の流下能力とのバランスを考慮する必要があることから、現行の河川整備計画に位置づけている最大放流量500トンに対応した天竜川の河川改修を引き続き国、県が連携して着実に進めてまいります。  次に、河川、道路のアダプトプログラム里親制度の経過と実施状況に関するお尋ねでございます。  県では、河川や道路の良好な景観や環境の保全を目指し、河川では平成14年度から、道路では平成15年度からアダプトプログラム制度をスタートし、河川や道路の美化活動を行う団体に対し草刈り機の燃料費や花の苗の支給などの支援を行っているところでございます。  令和3年4月1日現在、管理団体の数は、河川では2,593団体、道路では353団体が登録され、団体数としては年々僅かずつ増加する傾向にございます。その一方で、参加者は減少傾向ではありますが、今年度、河川では延べ9万2,589人、道路では延べ2万4,605人と多くの皆様に御参加いただき、感謝しているところでございます。  最後に、実施者の高齢化に伴う参加者減少への対応策に関するお尋ねでございます。  まず、河川に関しましては、地域の方々の作業に合わせて、負担が大きく、危険性が伴う作業を県の維持工事として行うわがまちの川美化事業を平成25年度から開始し、地域の方々に安全で無理のない範囲で御協力をいただく取組を進めております。  道路に関しましては、アダプト団体の名称等を記載したアダプトサインの設置などにより県民へ活動のアピールを行うことで団体の活動意欲の向上を図っており、企業等からも関心が寄せられております。  今後、高齢化による参加者の減少傾向はさらに顕著となることが予想されることから、実施者に過度な御負担とならないよう、県の維持工事の拡大や活動に意欲的な企業等の参加の促進など、地域の実情を踏まえながら検討を重ねてまいります。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)2点御質問を頂戴しております。  まず、独居高齢者の孤独対策についてお答えいたします。  県内の高齢単身世帯数は、令和2年10月1日現在9万6,359世帯でございまして、65歳以上の高齢者がいる世帯の約4分の1を占めており、今後もその割合は増加すると見込まれます。  独り暮らしが続きますと、外出の機会や会話の頻度が少なくなり、生活の状況が外から見えづらく、緊急時に迅速な対応ができなくなるおそれがございます。県では、ガス、電気のライフラインや宅配等の民間事業者と地域見守り活動協定を締結して、事業活動の中で高齢者宅の異変を察知した場合に市町村に連絡していただき、安否確認を行う体制をつくっております。  また、地域におきましては、市町村社協が定期的に電話で安否確認や話し相手をする安心コール事業を行っているほか、民生委員やボランティアが家庭を訪問し、困り事の相談に乗るなどの活動が行われております。  人生100年時代の到来が見込まれる中で、独り暮らしであっても住み慣れた地域で孤立せずに安心して暮らしていけるよう、高齢者を地域全体で見守り、支えていく社会づくりを進めてまいります。  次に、高齢者が会話する居場所についての御質問でございます。  内閣府の「一人暮らし高齢者に関する意識調査」によりますと、独り暮らし高齢者の現在の楽しみとして、仲間とのおしゃべりが第2位に挙げられており、人とのコミュニケーションは心の豊かさに影響を与えるものと考えております。  高齢者の介護予防として住民ボランティアや社協等が行います通いの場は、公民館等を利用した定期的なお茶会や趣味活動、健康教室など様々な活動を行っており、独り暮らし高齢者にとって、外出して人と交流し、情報交換する場として楽しみの一つとなっております。  また、長野県シニア大学は、高齢者の生きがいづくり、社会参加活動のきっかけづくりとともに仲間づくりの場として運営されており、入学された皆さんは、在学中のみならず、卒業後も仲間同士の交流を続けておられます。  こうした身近な場における人との交流は、独り暮らし高齢者の孤立防止のみならず、心身の健康や生活意欲の向上につながるものとして重要であると認識をしております。県としては、これら様々な形で行われる居場所づくりや交流などが地域包括ケア体制の構築につながることから、市町村と連携して通いの場の充実を図るなど、取組を行ってまいります。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、高齢者も集う交流の場としての信州こどもカフェの活用について御質問をいただきました。  現在、信州こどもカフェにおいては、多くの高齢者が食事提供、学習支援などのボランティアとして積極的に関わっていただいております。また、子供に限らず誰でも参加でき、高齢者との多世代交流を行っている信州こどもカフェも多数あり、デイサービス施設等の高齢者施設で開催している信州こどもカフェもございます。  核家族化が進み、高齢者と子供、若者の交流が少なくなる中で、身近な地域においてお互いを知り、様々な知識や経験を見聞きし、交流する機会は、高齢者、子供、両方にとって非常に大切なものであります。  県では、今後も、信州こどもカフェが、子供の居場所としてのみならず、地域の大人、高齢者と子供がつながる場所として生かされるよう、引き続きその普及拡大に努めてまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には高齢者福祉と子供対策との連携についての見解という御質問をいただきました。  地域に暮らす県民の皆様方お一人お一人が、支え手、受け手というある意味片務的な関係性を超えて、お互いに主体的に支え合っていく、そうした新しいお互い様社会をつくっていくということが大変重要だというふうに考えています。こうした考え方は、平成30年度に策定いたしました本県の地域福祉支援計画にも盛り込ませていただいているところでございます。  本県は、平成14年度から高齢者や乳幼児等に対してサービスを提供する宅幼老所の整備を進めてきたところであります。現在405か所ある宅幼老所のうち127か所が乳幼児の一時預かりなど子供に関わる事業を行っていただいているところであります。  このほかにも、こどもカフェでも高齢者との交流を行っていたり、また、住民主体で行われているいわゆる通いの場においても、高齢者だけでなく、子供たちが参加しているケースもございます。  高齢者支援と子供支援の相互に乗り入れていくような施策につきましては、来年度策定する予定の新たな地域福祉支援計画の中で検討し、位置づけていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)3点お尋ねをいただきました。  まず、流域保全総合治山事業の特徴と狙いについてでございます。  この事業は、流域治水プロジェクトの推進に向けた治山対策、森林整備の取組の一環として、国により令和4年度から新たに創設されるものです。  事業の特徴としましては、従来の治山施設及び森林整備に加え、伐採木を有効活用した簡易な土木的工法、流域単位での航空レーザー計測等による危険箇所の抽出、これまで流域で取り組んできた対策についての効果検証等を実施することとしております。  また、狙いとしましては、県で進める流域治水の取組と連携し、流域保全上重要な河川の上流域に存する森林等において、水源涵養機能や土砂流出防止機能等の高度発揮に資する対策や、砂防事業と連携した流れ木対策を実施するなど、山地、渓流対策を一体的に行うことにより県民の安全、安心の確保を図るものでございます。  次に、諏訪湖スマートインターチェンジ(仮称)上流域の防災対策の進め方についてでございます。  当該地域につきましては、昨年度神子沢等の流域調査を実施しており、既に早急な対策が必要な箇所の抽出を終えていることから、早期着手に向けた事務手続を進めております。流域保全総合治山事業の内容としましては、崩壊の発生源となり得る危険な山腹斜面に対して行う地山を補強する工法、手入れ不足で過密化している森林での森林整備と簡易土木的工法、さらに、流れ木対策として、渓流内に治山ダムを計画し、緊急度の高い箇所から実施いたします。  なお、山地防災に関心の高い地域でありますので、地域住民を含め、関係機関と緊密に連携し、小まめな地元説明会等を開催することにより、地域との合意形成を図りながら事業を進めてまいります。  最後に、森林の保全と今後の事業展開についてでございます。  森林は、持続可能な社会全体の共有の財産であり、水を育み、洪水や土砂の流出、崩壊などの災害を防止する公営的機能を持つとともに、木材生産等の多様な機能を有していることから、森林の適切な整備及び保全は重要な課題と認識しております。  近年、気候変動により、災害が広域化、激甚化する中、県内各地で山地災害が発生していることから、諏訪西山地区において令和4年度から複数年かけて実施する流域対策の取組を踏まえ、今後他地域へも効果的な事業展開を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)それぞれ御答弁いただきまして、アダプトプログラムにつきましては、地域のインフラへの愛着を増す効果があるということで、重要な事業だというふうに認識を新たにしております。ぜひ地域の方々と共に、負担を軽減しながらさらなる充実を図っていただければと思います。  高齢者と子供の関係につきましては、知事からお互い様の精神でということで、宅幼老所もそれなりに充実を図っていただけるというような状況をお話しいただきました。シニア大学等で元気な活動をされている高齢者もおります。ぜひ高齢者と話す機会を大きく増やすような対策を取っていただければありがたいということを切に要望いたしまして、私の一切の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、山口典久議員。       〔14番山口典久君登壇〕 ◆14番(山口典久 君)内閣府が昨年12月に発表した子供の生活状況調査の分析報告書では、貧困の連鎖のリスクが、貧困層だけでなく、準貧困層に現れていると警告しています。また、文部科学省の調査では、経済的に困難な家庭への就学援助制度を利用している児童生徒は県下で9人に1人、全校生徒の30%以上が利用している学校が十数校に及んでいます。  この間、長野県は、教育費の負担軽減へ、就学援助制度の改善、充実等の支援策に取り組んでこられました。しかし、経済的な状況は一層厳しくなっています。県は、全ての子供、若者が希望を持ち、生活し、様々な困難を乗り越える力をつけること、そして、切れ目ない教育費の負担軽減、学習支援の充実を強調してきましたが、今、その取組を一層前に進めることが求められているのではないでしょうか。  最初に、子供の医療費について質問します。  子供医療費の給付制度が見直され、平成30年8月からは、中学3年生までを対象に、市町村によっては高校生以上を対象に、窓口の支払いは500円等一定額の受給者負担金のみになりました。これは、20年来にわたる県民の皆さんの取組が実ったものです。子供さんを連れたお母さんが病院の会計で何度も感謝している姿を私も見かけましたが、各地で歓迎されています。同時に、受益者負担金は病院と薬局でそれぞれ支払いが必要であり、複数の子供がいる場合など、負担は決して軽くありません。小児科医療の関係者から、負担金が払えず受診を控える事例も報告されています。全国の都道府県と県下の市町村の受給者負担金の額、状況について伺います。  受給者負担額は、県と市町村が共同設置した長野県福祉医療費給付事業検討会において取りまとめられたものですが、格差と貧困の拡大、さらに、新型コロナの影響が深刻になる中で、市町村と共に制度の見直し、受給者負担金の撤廃を検討していただきたいが、いかがでしょうか。以上、健康福祉部長に伺います。  次に、給食費の負担についてです。  令和元年度の給食費は、中学生1人当たり平均で年5万8,491円、小学生5万1,029円です。保護者にとり、一番負担感があるのが給食費だと言われます。令和2年度、県内では、小学校で11町村、中学校は6町村1組合立で完全無償化しているとのことです。ほかに一部負担を行っている自治体も広がっています。こうした自治体では様々な効果も生まれていると聞きますが、実態はどうでしょうか。  給食費の無償化、一部負担は、県下全ての児童生徒、そして、子育て世帯への支援となります。県は、市町村と共に無償化、一部負担の施策を検討し、県が率先して推進してほしいと考えますが、見解を伺います。  文部科学省は、令和元年に、学校給食費徴収・管理に関するガイドラインを発表し、教職員の業務負担の軽減などを目的として、学校給食費の徴収・管理業務を地方公共団体が自らの業務として行う公会計化の推進、そのための都道府県教育委員会の配慮を求めています。現在、長野県内の公会計化の状況と推進の取組について伺います。  続いて、中学校の各種負担です。
     もうすぐ新入学や新学年を迎えます。保護者の皆さんは、子供たちの成長していく姿を喜びながらも、様々な出費に悩んだり、苦労することも少なくありません。中学の場合、入学に当たり、制服や運動着、バッグなど各種の負担が必要となります。学校や市町村によって違いもあるでしょうが、10万円近くになることもあるようです。部活動に参加する場合は、ある民間団体の調査では、初年度に必要な費用として、運動系でジャージやシューズ、グローブ、ラケットなど6万円から10万円、文科系では、利用する道具や楽器によりますが、数十万円かかる場合もあるようです。  県教育委員会は、こうした負担をどのように認識しているでしょうか。実情と市町村や各学校の取組を把握し、負担の軽減を進めていただきたいが、いかがでしょうか。  子育て世帯の負担軽減の最後に、高校通学費についてです。  令和元年度の生徒1人当たりの学校徴収金は、全日制で8万9,212円です。授業料を支援する高等学校等就学支援制度がありますが、決して負担は軽くありません。他に通学費がかかり、遠距離では月3万円以上となることもあります。  私は、高校の通学費の負担軽減についてこれまでも質問で取り上げてまいりました。2016年度に行われた遠距離通学の実態調査では、距離や交通費の負担が理由で志望校を変更した高校生が181人、回答者の12.1%と報告されました。志望校を変更せざるを得なかった生徒のことを思うと、胸が痛みます。教育委員会は、支援策として、高等学校等遠距離通学費の周知を図るとしてきましたが、その制度の利用状況について伺います。  高校では、BYODによるタブレット購入で数万円の新たな負担が生じています。今後、高校再編により、遠距離の通学をするケースが増えるなど、新たな負担増に既に不安の声が上がっています。現在の高等学校等遠距離通学費は貸与制度であり、卒業の1年後から償還が始まります。大学や専門学校で奨学金の貸与を受ける場合を考えると、切れ目ない返還になりかねません。今、奨学金の返還の支援策が様々な事業や自治体で始まりつつあるようです。こうした流れからも、通学費を、貸与ではなく補助する支援を県が市町村と共に検討してほしいが、いかがでしょうか。以上、教育長に伺います。  水道事業の広域化について、今議会の議案説明で、公営企業管理者は、安全で安心な水道水を安定して供給する持続可能な経営体制の構築に向け、広域化・広域連携の推進等に正面から取り組むことが急務となっていると述べられました。水道事業は、言うまでもなく、命の水に関わる事業であり、事業の見直しは丁寧な説明と住民合意が欠かせません。  以下、4点質問いたします。  上田長野地域水道事業広域化研究会の検討結果報告では、今後50年間に給水人口と有収水量の大幅な減少、水道施設、設備の老朽化による更新や耐震化、さらに、職員がピークと比べて約4割減少しており、特に小規模町村では職員数が著しく少ない傾向にあるとしています。そして、この検討結果報告は、水道事業経営の基盤強化が必要である。一つの事業体では対応は困難であり、広域化に取り組むべきとして、今後の方向性の検討を進めるとしています。  そこで、伺います。水道事業の現状と課題について、そもそもこれまでの運営で需要予測や投資が適正であったのか。設備の老朽化について実耐用年数に基づく現状はどうか。職員の高齢化と減少の要因などしっかりした検証が必要と考えますが、いかがでしょうか。  検討経過報告では、財政シミュレーションにおいて検討すべきこととして、地域住民や議会等に対する広報や広聴を挙げています。具体的には、説明や情報提供を行い、意見交換を実施し、意見等を整理し、検討に生かすとしていますが、おいしい水が飲めなくなるのではないか、地域にメリットはあまりないなど様々な声があると聞いています。これまでどのような意見が出されているか、伺います。  これまで、広域化が行われた他の事業においても、予算等への市町村議会の関与がなくなり、事業が見えなくなった、遠くなったと指摘されることがあります。水道事業においては、殊さら議会や住民が参画する仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。以上、公営企業管理者に伺います。  民営化について、11月定例会において、採算面から、相当規模の事業でなくては民間の参入は困難と認識しており、長野県内では、まずは水道事業者間の広域連携による基盤強化を進めるとの見解がありました。しかし、採算や効率で方向性を決めることが妥当なのか、私は疑問を持つものです。ヨーロッパでは、新自由主義の下に、はるかに規模の大きい事業で民営化が進みましたが、結局、株主配当が優先され、料金は値上げ。コストの削減で老朽化した設備の更新も後回しとなり、各地で再公営化が進んでいます。  水道事業は、住民の生存権に関わるものであり、極めて公共性が高い事業です。採算や効率を基準として民営化も選択肢とするのではなく、公営こそ持続可能な経営体制を構築する保障であると考えますが、いかがでしょうか。阿部知事の見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)子供医療費の受給者負担金についての御質問を頂戴しております。  子供の医療費の負担軽減は、各市町村において子育て支援策の一環として実施しておりまして、県は一定の基準を設けて市町村に財政支援を行っているところでございます。  本県の基準といたしましては、受給者負担金については、入院、通院とも1レセプト当たり500円としておりますが、全国の状況を申し上げますと、受給者負担金を設けている都道府県が36、設けていない県が11となっております。受給者負担金を設けている都道府県では、制度の内容が様々でございまして、例えば、入院、通院とも1か月当たり3,000円とするものや、入院を1日500円、通院を1回500円とするものも見られるところでございます。  また、県内市町村の状況でございますが、県の基準と同様に受給者負担金を500円としている市町村が50市町村、300円としている町村が16町村、受給者負担金を設けていない町村が11町村となっております。  受給者負担金の撤廃をしてはどうかという御質問でございます。  子供医療費を含む福祉医療制度につきましては、将来にわたって県民の医療、福祉を支えるため、持続可能な制度であることが大変重要であり、そのため、受給者の皆様にも共に制度を支え合う一員となっていただき、一定の負担をお願いしているものでございます。  受給者負担金を廃止した場合は、県と市町村合わせて7億円以上の新たな財政負担が生じるものと見込んでおり、また、医療費の完全無料化は医療機関への受診動向に影響を及ぼす可能性もあることから、慎重に判断する必要があると考えております。  県といたしましては、市町村と共に子供・子育て支援を推進するため、来年度から、通院に対する県費負担の範囲を未就学児から小学3年生までに拡充することとしておりまして、引き続き県民の福祉の充実に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)子育て世帯の負担軽減について、給食費の無償化等に伴う効果についてのお尋ねでございます。  無償化等を行っている町村にお伺いいたしますと、経済的負担軽減による子育て支援が図られているほか、それを通じてその町村への移住を希望する子育て世帯へのPRにもなっている、また、地産地消にも資しているというお話を伺っております。結果として、学校給食費徴収に係る教職員の業務負担軽減なども図られているというお話でございます。  次に、学校給食費の無償化に対する県の関わりについてでございます。  小中学校の学校給食の実施に当たっては、学校給食法に基づきまして、学校設置者である自治体が人件費や施設などの経費を負担いたしまして、保護者は食材費、いわゆる学校給食費を負担するということになっているわけでございます。県内の町村の中には、子育て支援の一つとして保護者負担の軽減を図っているところがあるということは承知しておりますけれども、給食費の無償化は、地域の状況などを承知している市町村において判断し、実施することが適当であろうというふうに思っております。  次に、公会計化の状況と推進のための取組についてであります。  令和3年に文部科学省が行った全国の公会計化の状況調査において、本県において公会計化を導入していると答えている市町村が現時点では29、導入の準備、検討をしていると答えた市町村が10、合計39の町村が公会計化を行い、あるいは検討しているという状況でございます。県教育委員会としては、引き続き、市町村教育委員会の担当課長を集めた会議や研修会などを通じまして先進事例を紹介するなど、公会計化が促進されるよう支援してまいりたいというふうに考えております。  次に、入学時の各種負担、部活動の負担をどのように認識しているかというお尋ねであります。  入学時には、学校生活に欠かせない様々な物品を購入する必要がありまして、学校の指定により購入する物品については、その必要性や再利用の可能性などを見直し、保護者負担の軽減を図る必要があるというふうに思っております。  また、部活動の負担については、使用する楽器や運動用具、大会等への参加に係る費用は、活動の特性によりまして保護者の負担額に差があるということは承知しておりますけれども、同様に保護者負担の軽減を図る必要があるということは認識しております。  負担軽減の取組の把握と負担軽減についてでありますが、保護者負担の軽減を図るために、県では、市町村教育委員会に負担額を定期的に見直すよう毎年依頼しているところでございます。  また、今年度開催した市町村教育委員会と県教育委員会との懇談会では、保護者負担の現状と見直しについてをテーマに意見交換を行いまして、各学校での負担軽減の取組事例を共有いたしました。具体的には、PTA等の地域と連携した制服や運動着などをリユース、リサイクルする仕組みづくり、学用品の男女での色分けを廃止しまして共用できるようにする、吹奏楽器はマウスピースのみ個人購入とし、学校にある楽器の使用を推奨などの取組事例が紹介されたところでございます。こうした事例を一覧にまとめまして、市町村教育委員会を通じ、全県の学校に情報提供し、より一層の負担軽減をお願いしているところでございます。  今後、様々な機会で好事例を紹介しながら、さらなる保護者負担の軽減につなげてまいりたいというふうに考えております。  次に、高等学校等遠距離通学費の利用状況でございますけれども、現在、高等学校等奨学資金貸付金制度の中で遠距離通学費を無利子で貸与しておりまして、令和2年度の貸付け実績は、86名に対して1,748万円を貸与しているという状況でございます。  市町村と連携した通学費への補助についてでございますけれども、県立高校においては、毎年度保護者負担軽減のための見直しを実施しておりまして、また、高校生を持つ家庭の経済的負担軽減のために、市町村民税所得割額の非課税世帯を対象に高校生等奨学給付金を支給しているところでございます。  議員御指摘の市町村と連携した補助制度につきましては、市町村の中には、地域の実情を踏まえ、高校生への通学費補助を行っているところも承知しておりますけれども、県内の各市町村の考え方を尊重しつつ、現行制度の中で生徒の教育環境を整えてまいりたいというふうに考えているところでございます。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)水道事業広域化についての御質問にお答えいたします。  まず、水道事業の検証についてですが、水道事業の広域化等を検討するに当たっては、それぞれの水道事業におけるこれまでの経過を踏まえつつ、施設設備等の経年化、耐震化の状況や、組織体制、あるいは料金体系、住民の皆様へのサービスなど現状の把握と分析を行った上で、将来推計等に基づいて広域化等による効果を検証することが必要だと認識し、取り組んでいるところでございます。  そうした中で、上田長野地域水道事業広域化研究会では、検討経過報告において、広域化の形態として8パターンを想定し、全国的にも高齢化し、不足が課題となっている人材の確保等、12以上の項目で論点整理をした結果、事業統合が最も大きなメリットを得られると考えられるとし、事業統合した場合の財政シミュレーションを実施することを昨年11月に公表したところでございます。  この財政シミュレーションを実施するに当たっては、検討すべき項目として、1として、需要予測を踏まえて最も高い効果が期待できる広域化に伴う水道施設等の整備内容、2として、住民サービスの向上を図る組織体制、3として、迅速な対応ができる災害等の危機管理対策の強化、4として、現状では異なる水道料金の考え方、5として、広域化のスケジュールの5項目を掲げ、財政的な効果を試算することといたしました。  また、昨年7月からこれまでに研究会を3回開催するとともに、研究会の下に設置した関係市町の課長等から成る幹事会では23回にわたって論議を重ねてきたところであり、今後、こうした検討をさらに重ねて、この地域の水道事業の広域化の方向性について研究会としての案を取りまとめていきたいと思います。  次に、水道事業の広域化に関する意見についてですが、現在、コロナ禍ということもあり、住民の皆様にお集まりいただく形での説明会等は直ちに開催できる状況にはないので、まずは、昨年11月に県及び市町の議会議員の皆様などを対象として、長野市をはじめ関係3市1町と上田長野地域水道事業広域化に関するシンポジウムを開催するとともに、ウェブ会議システムによる市町の職員や地元の大学生を対象とした説明と意見交換の場を設けることなどに取り組んでいるところでございます。  こうした機会を通じていただいた御意見としては、シンポジウム当日に会場で行ったアンケートでは、おおむね広域化の必要性について理解が深まった、あるいは住民の理解促進に向けたより一層の取組が必要という趣旨の御意見が多く、大学生等との意見交換の場では、2か月に1回の引き落としがある月は生活が厳しくなるとする一方で、多少の値上がりよりも水道の安全性のほうが保障されるべきだといった御意見もいただいているところでございます。  次に、議会や住民が参画する仕組みについてですが、企業局の水道事業における広域化等の取組については、長野県公営企業経営審議会において県議会や住民の皆様を代表する方に委員として参画いただき、経営戦略や事業の実施状況等とともに報告し、御審議いただくことに加えて、県議会にもこれまで状況を報告し、御審議をいただいているところでございます。  とりわけ、水道事業においては、安全で安心な水道水を将来にわたって安定的に供給するという考えの下、地域にふさわしい水道事業の在り方を検討しその方向性を見いだすためには地域に開かれた場で議論を行うべきとの考えから、上田長野地域水道事業広域化研究会は、当初から全面的に公開し、周辺市町村の職員もオブザーバーとして参加していただいているところであり、新聞等でもこれまで検討状況が取り上げられてまいりました。  それらに加えて、さきに御説明したシンポジウムには、県と市町の議会議員の皆様をはじめとする約300人に御参加いただくとともに、関係市町の議会議員の皆様を対象とした施設見学会の開催などに取り組んでいるところでございます。  今後とも感染対策などの工夫をしながら地域住民の皆様への情報提供の機会を設け、丁寧な説明や意見交換等に努めるとともに、そうした場において皆様からいただいた御意見を生かしながら、30年先、50年先を見据えつつ、次世代のために負担を先送りしないという視点によりさらに検討を進める中で、水道料金を負担していただいている住民の皆様の負託に応えてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、水道事業に関連して、公営こそ持続可能な経営体制を構築する保障であると考えるがどうかという御質問であります。  令和元年10月に改正水道法が施行されました。人口減少に伴う水需要の減少、施設の老朽化、深刻化する人材不足等の課題に対応するため、水道事業の基盤強化を図る手段として広域連携と官民連携が掲げられたところであります。そのうち広域連携については県がその推進役としての責務を担うということになっておりまして、今こうした取組を進めさせていただいているところであります。  官民連携につきましては、こうした役割が付与されたわけではありませんけれども、水道事業は住民生活の基盤となる最も基本的なサービスであるというふうに考えております。こうしたことを前提とした上で、民間のノウハウをどこまでどのように活用するのか、しっかりとした検討を行っていくということが必要だというふうに考えています。  この民間の活用は、業務の一部委託というレベルからコンセッション方式まで様々なレベルがございます。どういう形で活用するかということについては、各水道事業者において主体的に判断されるべきものというふうに考えております。  以上です。       〔14番山口典久君登壇〕 ◆14番(山口典久 君)子育て世帯の負担軽減で取り上げた項目は、いずれも子供の貧困解決のために避けて通れない課題です。また、少子化対策としても重要な課題です。県は、実情をもっと把握していただきたい、前向き、積極的に取り組んでいただきたいと思います。みんなが実感できるような子育て応援の温かい県づくりを引き続き求めていくことを述べて、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明3月1日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時19分延会...